YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第二七計 仮痴不癲

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第二七計 仮痴不癲








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 解題にある「雲雷屯なり。」の箇所は易経の卦なので、言及は省略する。
「痴」は「愚か」の他にも「痴呆」「老衰」「弱い」「無能」「無力」「惚(とぼ)け」という意味を当て嵌めても良いだろう。
 そして「癲」は「狂う」という意味。故に「不癲」とは「狂わない」「狂っていない」である。
 だから計略名や解題からも解かる通り、暗愚や無能なふりをして、相手を油断させ、警戒心を解かせるのが趣旨である。
 そうしておいて誰にも気取られぬよう備えを固めて、固め終えたら一気に殲滅、又は目標を達成する。一言で言うなら「韜晦」がこの計略の要旨である。
 故にこの計略の成功の鍵は「仮痴不癲」の「仮痴」、すなわちどれだけ巧妙に偽装出来るかに懸かっている。これが不十分だと成功が危うくなる。


 軍事面においては、わざと自軍の兵力を弱く見せ掛けたり、わざと出鱈目な作戦行動を採って、敵軍に自軍を侮らせ油断を誘う。そうして勝機を見い出す。
 軍事面以外でも同様であり、愚かなふり、無能なふり、無力なふり、無知なふりをする事で、相手に狙われたり、災難が降り掛かって来るのを避ける。
 必然性もないのになまじ能力や賢明ぶりを誇示すると、往々にして良からぬ結果をもたらす。
 そうなる位だったら寧ろ、それらを一切誇示せず、警戒されぬよう注意し、己の身を守った方が得策である。
 仮に自身の力が相手を上回っている場合でも、訳もなく無闇矢鱈と力を誇示するような振る舞いは、どのような災厄に見舞われるか分かったものではないので慎んだ方が良い。


 この計略を用いるに際して、注意すべき点は次の二点である。
 一点目は偽装を脱ぎ捨てていざ決行に及ぶ場合は、失敗は決して許されず、唯の一度で決めねばならない。
 失敗すれば命を失うのは言うまでもなく、仮に命は失わないまでも、二度とは使えない。一度は騙し通せたとしても、同じ相手に二度も騙される事はないからである。
 二点目は偽装するには「癲」ではなく、「痴」の方である事。
「癲」を装って利害損得や是非善悪など、一切眼中にないかのように振る舞っていれば、何らかの偽装ではないかと見抜かれ易い。
 だが「痴」を装う、すなわち「何も知らない」「何も気付いていない」「何も出来ない」「何もしない」という風に装えば、こちらの方が自然であるので、偽装や意図を気付かれ難いからである。
 それは使い手側にとっても、その方が無理なく自然に出来、比較的容易である。


 兵法書『孫子(そんし)』第一篇の【始計篇(しけいへん)】の中に、次の有名な一節があり、この計略に通じるものがる。


『兵は詭道(きどう)なり。
 故に能なるも之(これ)に不能を示し、用なるも之に不用を示し、近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近きを示し、利にして之を誘い、乱にして之を取り、実にして之に備え、強にして之を避け、怒にして之を撓(みだ)し、卑にして之を驕らせ、佚(いつ)にして之を労し、親にして之を離す。
 その無備(むび)を攻め、その不意に出(い)づ。此(こ)れ兵家(へいか)の勝にして、先(せん)には伝(つた)うべからざるなり。』

【意味:戦とは互いに欺き合う事である。
 出来るのに出来ないように見せ掛ける。必要なのに不要であるかのように見せ掛ける。遠ざかると見せ掛けて近付く。近付くと見せ掛けて遠ざかる。
 敵に有利だと思いこませて誘い出す。敵を混乱させて突き崩す。戦力充実している敵には退いて防備を固める。強大な敵とは戦いを避ける。
 故意に挑発して敵を消耗させる。下手(したて)な姿勢に出て敵を驕らせ、油断と慢心を誘う。休養を十分取った敵は、奔命に仕向けて疲労させる。団結している敵には、離間策を謀って結束や統制を崩す。
 敵の無防備で脆い箇所を攻めて、敵の不意や盲点を衝く。
 これぞすなわち戦にて勝利を収める秘訣である。予め作戦や軍の運用を決めて掛かるのではなく、絶えず臨機応変を心掛け、決して固定化させて柔軟性を失わせてはならない。】





後編へ続く

「第二七計 仮痴不癲」書庫の記事一覧

閉じる コメント(4)

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無能を装うのは鼻毛を伸ばし続けた加賀藩の前田利長やグルメ狂いをPRし続けた伊達政宗などがいますが、彼らは将軍から謀反の疑いをかけられないためでした。本当に無能を装って敵を殲滅したので有名なのが織田信長でしょうね。若いころは相当なデタラメをやっていたそうですが、斉藤道三は「こいつは怖い」と見抜いたそうです。傑作

2012/11/3(土) 午前 9:31 千葉日台

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ナイス!ありがとうございました。

その前田利常と伊達政宗の二人の逸話は、この書庫で紹介する予定です。前ブログじゃとうとう出来ませんでしたが。

信長の若き日の奇行ぶりは史上有名ですが、これも仮痴不癲ですね。
これもここの故事に加えようかどうか・・・・。
道三クラスの英雄だからこそ、信長の真価を見抜けたのでしょう。「英雄は英雄を知る」と言いますから。

この計略を成功させるには、やはり忍耐強さや気力が必要かとも思えます。途中でボロを出さない為の注意深さも。

2012/11/3(土) 午前 11:51 ZODIAC12

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最初の記事の説明を見て、「能ある鷹は爪を隠す」というような意味かなと思いましたが、やはり戦略としてもっと積極的なものなんですね。相手の油断を誘う擬態のような感じて、機を見て相手に襲いかかるというようなイメージですね。相手をやっつけようとする非常に強い意志とか、目的達成の手段として揺らがない心とか、なにか冷徹な人でないと出来そうもないですね。

2013/7/16(火) 午後 1:19 [ さざんか ]

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あ!早速いらっしゃいませ!!(^^)ノ


まあ「能ある鷹は爪を隠す」という諺とも通じるものがありますね。

>相手の油断を誘う擬態のような感じて、機を見て相手に襲いかかるというようなイメージですね。

>相手をやっつけようとする非常に強い意志とか、目的達成の手段として揺らがない心とか、なにか冷徹な人でないと出来そうもないですね。

私も同感です。イメージとしては、事例にも出す予定でいますが、司馬仲達とか、「知らぬ半兵衛」こと竹中半兵衛重治とか、若き日の織田信長とか、そういうイメージです。

後はフィクションの世界ですが、『忠臣蔵』の中での、遊女遊びに耽る大石内蔵助のイメージでしょうか。

このまま引き続き、後編の方もどうぞ。<(_ _)>

2013/7/17(水) 午後 4:38 ZODIAC12


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