YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第三計 借刀殺人

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承前  故事其之貮 ─ 乙





 ♔ 中山国の公子の例

 中山国に一人の身分の低い公子がいた。
 だが生活が困窮していて、馬は酷く痩せ細っており、馬車も老朽化していて、あちこちがボロボロに破損していた。
 中山王の左右に侍る近侍の中に、この公子と仲の悪い者がいて、その近侍は公子を陥れようと画策した。
 まずはさもこの公子の為に、中山王に取り成すように見せ掛けたのである。


「大王様、公子は酷く貧しいので、馬も痩せ衰えております。せめて馬の飼葉だけでも御増やしになられては如何にござりましょうや?」


 だが中山王はこれを却下した。
 その後、近侍は秘かに宮殿の秣小屋に放火をして、さもその公子が自分に何も与えてくれなかった事の腹癒せに、中山王への当て付けの為にしでかしたかのように見せ掛けた。
 中山王は調査もせずに公子の犯行だと決め付け、公子を誅殺した。





 ♕ 甘茂の策謀

 この項で本故事の最後とするが、出典元はこれまでの事例と異なり、第三十四篇『外儲説 右上』からである。


 甘茂(かんも)は秦恵文王【しんのけいぶんおう:本名は嬴駟(えいし)】に、宰相として仕えていた。
 そんな時期に上記の【陳需の策略】の項でも紹介した犀首こと公孫衍が、上述の経緯から魏王の咎めを受けて、秦へ落ち延びて来た。
 秦恵文王は公孫衍を大層気に入った。そして秦恵文王は公孫衍に対して、秘かに胸中を打ち明けた。


「その内そなたを宰相に据えようかと思うのだが。」


 この遣り取りを甘茂の部下がこっそりと壁の穴から盗み聞きし、甘茂に知らせた。


 甘茂は宮廷に出仕して秦王に拝謁するや、祝辞を述べた。


「大王様におかれましては、賢相(優れた宰相)を得られて誠におめでたき事に存じます。臣は敢えて再拝し、祝賀申し上げます。」


 怪訝に思った秦恵文王は言った。


寡人(かじん)【※9】は国事をそなたに託しておる。何故更に賢相を求めようか?」


 甘茂は答えた。


「大王様は犀首(公孫衍)を宰相に任じられるおつもりでございましょう。」


 それを聞き、秦恵文王は顔色を変えて問い質した。


「そなたはどこでそのような事を聞いたのか!?」

「犀首が臣めにそう申されました。」


 それを聞き秦恵文王は、公孫衍が秘密を漏らしたと信じ込み、怒って公孫衍を秦から追放したのであった。


 ちなみにこの甘茂の孫の甘羅(かんら)を主人公とした逸話は、 【第二六計 指桑罵槐】の故事(リンク先工事中)で語る。





『韓非子』に見られる借刀殺人の数々の事例。

「第三計 借刀殺人」書庫の記事一覧

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借刀殺人・・・
最後まで読んで思ったけど、成功する第一条件は「王様(or上司)が程よく無能」だな・・と。

疑い深い性格や勘の鋭い上司だと、後から利用された事に気づいて墓穴掘るかもだから。

借刀殺人が多発する王朝は沈没寸前の船だなぁ。
良くも悪くも有能な人が排除されていくわけだから、
最終的には人材不足になって他国から狙われる元になる。

記事にナイスヽ(*´∀`)ノ★ぽち

2012/11/23(金) 午後 3:55 栞

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まずは記事にナイス!ありがとうございました。


>最後まで読んで思ったけど、成功する第一条件は「王様(or上司)が程よく無能」だな・・と。

そうなのですが、有能な上役でも引っ掛けられる事もありました。項羽や曹操やスターリンなんかも。

項羽やスターリンは猜疑心が強かったからなのですが、曹操は他の二人程には猜疑心が強くはなかったものの、「赤壁の戦い」の時に周瑜(しゅうゆ)の反間計に引っ掛かって、蔡瑁(さいぼう)・張允(ちょういん)の二将を処刑してしまいましたから。
それが祟って、赤壁の水上戦でマトモな指揮を取れる将がいなくなり敗戦に繋がってしまいました。

尤も項羽とこの曹操の事例は、この書庫ではなくて、【第三三計 反間計】の書庫で紹介する予定です。
スターリンの事例だけはここの書庫でしますが。


>借刀殺人が多発する王朝は沈没寸前の船だなぁ。良くも悪くも有能な人が排除されていくわけだから、最終的には人材不足になって他国から狙われる元になる。

2012/11/24(土) 午前 11:51 ZODIAC12

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支那の歴代王朝の末期にはよく見られた光景ですが、特に思い浮かぶのが、明王朝滅亡に際して、袁崇煥(えんすうかん)を処刑してしまった事でしょうか。

栞さんも御存知の満州族の清と明が戦っている時期に、袁崇煥は明きっての名将として連戦連勝を重ねていて、清軍を苦しめていました。
それで清は厄介な袁崇煥を始末する為に、情報工作で攪乱しました。

明の宦官を買収して、袁崇煥は謀反を企んでいるとデマ情報を流させたのです。
それで猜疑心の強い愚かな崇禎帝(すうていてい)は、袁崇煥を誅殺してしまったのです。それが滅亡へと繋がりました。

尤も明は末期症状だったので、仮に袁崇煥を殺さなかったとしても、存続出来たかどうかは疑問ですが。

2012/11/24(土) 午前 11:52 ZODIAC12


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