YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第七計 無中生有

[ リスト ]

承前  故事其之壹 ─ 甲





 そこで殺された燕王噲の嫡子である太子平【姓は姞(きつ)、氏は燕(えん)又は召(しょう)、名は平(へい)】は父王の死後に即位し、第39代・燕昭王(えんのしょうおう)となった。


 即位以来、ひたすら疲弊した国力を回復させ、仇敵・斉への復讐を果たそうと、天下中から人材を呼び込んだ。
 これは【第一七計 抛磚引玉】の「先ず隗より始めよ」の故事(リンク先工事中)で語った通りである。
 そうして遂に楽毅(がくき)という天下の傑物を得て、斉を脅威と感じていた上に、斉を恨んでいた秦・韓・趙・魏・楚の五大国と連合を組み、楽毅率いる燕軍主導の下、一時に斉に攻め入った。この時、戦国時代後期の紀元前284年の事である。




 ♜ 序三 怒涛の侵攻と斉湣王の末路

 斉は国都・臨淄(りんし)【※4】が陥落させられ、宮殿から宝器やその他財宝などが燕を始め六ヵ国連合軍によって戦利品として持ち去られて行った。
 斉湣王は一旦は国外へ脱出する羽目になり、各地を転々とした。だが斉湣王は亡命する先々で傲慢な態度を取り続けて、逃亡先の人間たちから立て続けに嫌われ、その度に国外へ追い出された。
 斉湣王は国外での落ち着き先を失い、とうとう斉へ帰還する事となり、莒(きょ)【※5】の邑へ落ち延びた。
 国都・臨淄の陥落を始めとして、破竹の勢いの燕軍に斉は七十余もある城市を次々陥落させられ、遂には莒と即墨(そくぼく)【※6】のたった二つの城市を残すのみとなった。


 そんな情勢の中、南方の大国・楚は、将軍の淖歯(どうし)に率いさせ、斉へ救援軍を派遣した。
 淖歯は斉湣王の滞在する莒まで出向き、斉湣王の宰相に任命された。そうして斉の国政の実権を握ったのであった。
 斉の国君がいるだけあって莒の士気は高く、名将・楽毅でさえも手古摺り、陥落させられないでいた。
 だが淖歯は野心家であり、心中秘かに斉の王位へ食指を動かしていた。
 楽毅から淖歯に持ち掛けたのか、逆に淖歯の方から持ち掛けたのかは判然としないが、淖歯が斉湣王を殺して新しく斉王となり、斉の領土を燕と山分けしようという話になった。
 そうして楽毅は、中々落ちようとしない莒の攻略を一旦は預け置いて、残りのまだ健在な即墨の城市へと攻撃目標を移した。


 即墨において楽毅は、後述するように本故事の主人公・田単の計謀の前に、まんまとしてやられて更迭され、結果燕軍は折角斉を滅亡寸前まで追い込んでおきながら、世界史上にも稀な奇跡的な逆転敗北を喫する事となる。
 それは一先ずはさておき、そうして斉湣王は宰相・淖歯の裏切りによって、とうとう暗殺された。
 これにより燕昭王は、斉を滅亡間近の壊滅状態にまで追いやり、父を殺した仇敵である斉湣王を死に追いやった事で、長年の悲願であった斉への復讐を果たしたのであった。
 国君が突如殺された事により、斉の命運はいよいよ風前の灯であった。





 ♝ 先見する智恵者

 ここからがいよいよ本故事の主人公・田単の話であるが、話は楽毅率いる燕軍始め六ヵ国連合軍の侵攻より前の時点に遡る。
「田」という氏が示す通り、田単は姓は嬀、氏は田、名は単であり、斉(田氏斉)の王室・田氏の疎属(そぞく)【※7】であった。しかし歴代の田氏のどの世代から枝分かれした系統なのかが不明である。
 だが身分が低くてほとんど庶人と変わらず、家もそんな裕福とは言えなかったようなので、世間から見向きもされない程の傍流であったかと思われる。
 斉湣王の治世において、田単は斉の国都・臨淄の市掾(しえん)【※8】を務めていたが、田単の名と才覚を世人に知られる事はなかった。





後続  故事其之壹 ─ 丙

「第七計 無中生有」書庫の記事一覧

閉じる コメント(4)

アバター

語句解説読んで欲しい・・・という目的は、見やすさとかの感想?

もし、そうなら・・・見づらい。

例えば「疎属」だけど、遠縁って言い方じゃダメなの?
もしくは「疎属(そぞく・遠縁の者)とかじゃダメ?

市掾(しえん)とかなら、当時の官職の呼称だろうから解説いるだとうけど、簡素化できるものなら、簡単でいいんじゃない?

と思った^^;

2013/3/1(金) 午後 11:12 栞

顔アイコン

そうですか。見辛いと感じられますか。
見易さ云々と言うより、今回のは語句註釈の数が多く、解説も少々凝ったのが何点かあるので、解説の文章が読み辛いかどうか、少々気になったもので。

「疎属」という単語は原本にも記述されていた語句で、そのまま持って来たのですよ。
こういった普段は全く耳慣れない語句でも、原文の芳香を少しでも味わってもらいたいなと思い、よくそのまま使用したりします。
「ああ、こういう言葉や言い回しもあるんだな。」と知ってもらえれば、と思っているのですが(^^;)。


それはそうとナイス☆ありがとうございました。

2013/3/2(土) 午前 10:31 ZODIAC12

顔アイコン

どれを読もうかとずいぶん迷いましたが、この計にすることにしました。無中生有なんて、ちょっと仏教哲学かなんかみたいだと思ったのですが、老子だったんですね。
ZODIAC12さんの記事は、たしかに語句も難しいし、固有名詞も覚えにくいですから、読むのに疲れることがありますが、それでも何とか読んで古代の歴史の雰囲気を味わうのは、それなりに陶然とした気分を感じられる気がします。
注釈を読んでその時は理解しても、すぐに忘れてしまいますが、仰るように、古代支那の文明の芳香を嗅ぎ取ることが出来るのは、貴重なことだと思います。
わたしにとっては、記事に出てくる事件や戦略を記憶するよりも、当時のそうした雰囲気にひたれることのほうが、読んでいる目的みたいな部分もあります。
しかしながら、記事を読むのは結構疲れるので、訪問が不規則になるかもしれませんが、あしからず。
取りあえず、ここまでの記事読みました。

2013/10/5(土) 午後 1:11 [ さざんか ]

顔アイコン

またまた遅くなりました。<(_ _)>

やはり覚え難く、読み疲れるのですね・・・・・(^^;A)。


>それでも何とか読んで古代の歴史の雰囲気を味わうのは、それなりに陶然とした気分を感じられる気がします。

>注釈を読んでその時は理解しても、すぐに忘れてしまいますが、仰るように、古代支那の文明の芳香を嗅ぎ取ることが出来るのは、貴重なことだと思います。

そう評して頂けると助かります。たださえ敬遠されがちなブログですので・・・・・(苦笑)。


>わたしにとっては、記事に出てくる事件や戦略を記憶するよりも、当時のそうした雰囲気にひたれることのほうが、読んでいる目的みたいな部分もあります。

そうですか?計略の部分、解り辛いですか?そこが中核部分なんですけどね・・・・(^^;)。
けどまあ楽しみ方は人それぞれで、注文は付けられませんし、読んで下さる人が余りに少な過ぎるので、贅沢は言えませんね(^^;A)。


それではどうか御自身のペースで、これからも無理せずに御越し下さい。御来訪、御待ちしております。<(_ _)>

2013/10/7(月) 午後 8:23 ZODIAC12


.
ZODIAC12
ZODIAC12
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

過去の記事一覧

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
友だち(1)
  • yatugatake
友だち一覧
検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事