YAMINABE the Second Operation

この11年間の数多くの思い出を携え、私は新たな旅へと出発します。それでは皆さん、御達者で。

第三四計 苦肉計

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第三四計 苦肉計







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【解題の原文読み下し】の項での「童蒙の吉・・・」以降の件は『易経(えききょう)』の卦なので、その箇所に関しては省略する。


 解題の項でも語った通り、人は普通、己自身で己を傷付けるという事はしない。そのような行為は、必ず他者によって為されたと思うのが自然である。
 そういった常識を逆手に取って、敵を欺く為に敢えて自分で自分を傷付ける。それを他者によって加虐されたと思い込ませ、敵を混乱させるのである。
 そのような自作自演の自傷行為による偽装工作を施して、敵を攪乱させる事こそがこの計略の概要である。


 尚、我が国でも諺として「苦肉の策」という言葉が使われているが、それはこの苦肉計に由来する。
 しかし我が国でのそれは、本来の意味すなわちこの計略の意味とは異なった意味で用いられている。
 我が国では「苦し紛れに思い付いた手段」「切羽詰まった状況から脱する為に、損害を承知の上でやむを得ず採った手段」といった意味で用いられているが、これは誤用であり、本来の意味とは全く異なる。
 本来の意味は苦し紛れの思い付きなんかではなく、自らの確固とした意志で、積極的に貫き通す類のものである。


 この計略の運用法は二種類ある。
 一点目は自分自身に危害を加えて被害者を装う。
 そうする事で陥れる相手を悪者に仕立て上げて、周囲からの同情を集め、相手を罠に嵌めたりする。
 他にはそうする事で、敵に見逃してもらったり、厄介な事、骨の折れる事を免除してもらったりする。
 二点目は敵陣営内部に潜入して攪乱工作をする為に、元いた陣営を離反した、又は追放されたように見せ掛ける。
 そう見せ掛ける為に、敵側が納得するような、尤もらしい理由を拵える為の偽装工作を施す。
 一点目の運用法は、動機や成果が極めて個人的な利益の域を出ておらず、二点目の運用法と比べると、やはり次元が低い。
 故にここでは二点目の運用法に限って論じる。又我が国で一般的に誤用されている「苦肉の策」も、ここでは対象外とする。


 この苦肉計という計略は、兵法書『孫子(そんし)』の第十三篇【用間篇(ようかんへん)】で論じられている所の「死間(しかん)」に当たる。
【用間篇】の「間」とは「間者」「間諜」「密偵」「隠密」と言った、いわゆるスパイの事であり、いわばスパイの運用法を説いた一篇である。
 以下はその死間について論じた【用間篇】の中の一節である。



>>>>>
 故に間(かん)を用うるに五あり。郷間(きょうかん)あり、内間(ないかん)あり、反間(はんかん)あり、死間(しかん)あり、生間(せいかん)あり。
 五間倶(とも)に起こりて、その道を知ることなし。これを神紀(しんき)と謂(い)う。人君の宝なり。


 郷間とは、その郷人(きょうじん)に因りてこれを用うるなり。
 内間とは、その官人(かんじん)に因りてこれを用うるなり。
 反間とは、その敵の間(かん)に因りてこれを用うるなり。
 死間とは、誑事(きょうじ)を外に為し、吾(わ)が間をしてこれを知らしめて、敵の間に伝うるなり。
 生間とは、反(かえ)り報ずるなり。
<<<<<



 現代語訳は以下の通り。



>>>>>
 故に用いる間者(スパイ)には五種類ある。すなわち郷間・内間・反間・死間・生間である。
 これら五間を同時に駆使して、敵に察知されぬように使いこなす。
 この技術こそ神紀──────測り知る事の出来ない霊妙なやり方──────というものである。君主たる者が宝とすべき事である。


 まず第一に郷間とは、郷人(敵国の住民)から情報を収集する間者である。
 第二に内間とは、官人(敵国の官吏、要人等の高官)を買収して、情報を収集する間者である。
 第三に反間とは、敵国から送り込まれた間者を、籠絡して手懐けたり、偽情報を与えて欺いたりして、敵国を混乱させる。
 そうしてこちらの手駒と化させて逆利用する敵国の間者である。
 第四に死間とは、敵国内に誑事(偽り事、偽情報)を伝える為に、自国の間者を敵国に送り込んで潜入させ、敵国内部を攪乱させる間者である。
 第五に生間とは、敵国から生きて帰還して、収集した情報を自国にもたらす間者である。
<<<<<



 この計略の工作員は、上記の第四の種類である死間となって、敵内部への潜入を果たす。
 だが言うまでもなく、それらしい理由もなくただ所属先を離反したというだけでは、敵が素直に信用してくれる筈もない。それでは用を果たせない。
 そこで潜入スパイが目的であると疑われないようにする為に、工作員は敵が納得するような明確な理由作りをする必要がある。


 その時に拵える動機の作り方が、狂言による自傷行為を始めとした様々な、身体や精神に対する理不尽で非道な仕打ちを受けたという類のものである。
 事前に裏でよく示し合わせた後、主に工作員の上役の手によって、これ見よがしに酷い目に遭わされたように芝居をし、工作員がその事を恨んで所属先を見限り、元の所属先や上役に復讐しようと望んで、相手先へ鞍替えしようとしていると思い込ませる。
 偽装工作を真に迫らせる為に、場合によっては工作員自身が惨い目に遭わされるだけでなく、工作員の近親者や親しい間柄の人物等を本当に殺害したりして、相手を心底信じ込ませる。そこまでになれば、離反や復讐も演技ではなく本物だと、誰しも思い込むからである。


 このようにして上手く敵の信用を獲得し、潜入を果たした後は、暗殺や諜報などの様々な工作活動を続けたりする。
 戦争ならば時期が到来したら、外からは自国の正規軍が敵国を真正面から攻撃し、内からは工作員や潜入部隊が内応して、内外両面から敵を挟み撃ちにする。


 そして苦肉計の工作員はどちらかと言うと、敵内部では疑いを持たれておらず、無警戒である事の方が多い為、奇襲を仕掛け易いので、成功する率が高い。
 何故なら高官や重要人物、人格高潔な名士とかを工作員の成り手とする事が多いからである。
 普通に考えて人は恩義があったり、何らかの利益を得ている国や組織を、容易に裏切ったりはしない。
 ましてや重要な地位にいたり、名声や信望ある人物がそれをする時は、余程の理由があるのだろうと思われる。
 だからこそそういう立ち位置の人物が工作員となる事で、説得力が生まれるのである。


 だがそのように計略が成功するとしても、必ず留意しなければならない事柄がある。
 それは上記の【用間篇】の一節では触れられていないが、死間というのは敵内部を攪乱させるのが目的で偽情報を流したり、様々な謀略工作を施すのであるから、工作員の正体や真意が発覚したら殺されるという事である。
 失敗して目的を果たせなかった時だけでなく、成功して目的を達成出来たとしてもである。
 目的を達成する時には、否応なしに工作員の正体と目的が露見するので、到底生きて帰る事は叶わず、任務の成功と引き換えに工作員は死ななければならない。故に「死間」と呼ぶのである。
 つまり死間とは、最初から死ぬ事を承知の上で潜入する性質のスパイなのである。だからこそ余程の覚悟がないと務まらないので、誰でも良いという訳には行かない。


 更にこの計略を成功させるには、工作員個人の力量ばかりでなく、送り込んだ当局側もしっかりとサポートしなければならない。
 潜入成功後のサポートは勿論、まず何よりもその始まりにおいてである。
 敵側から潜入工作を目的としたスパイだと気付かれない為に、工作員となる者から恨まれて当然、見限られて当然、復讐されて当然と思わせられる位の非道な仕打ちを断行し、悪役・憎まれ役を演じなければならない。
 周囲から批難され、悪名を被る事を覚悟しなければならない。
 工作員と当局の両者の覚悟が揃って初めて、この計略は成功するのである。


 以上の事からこの計略が成功する決め手は、


一、実行する工作員の技量、覚悟、使命感、忠誠心等の質。
二、強い説得力のある、巧妙に施された迫真の偽装工作。
三、仕掛ける側の当局者が目的達成の為に、悪名を被る事を恐れず、冷酷非情に徹し切れる事。


の三点であろうか。
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閉じる コメント(6)

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一つ目の術は、韓国の従軍慰安婦恫喝に似ていますね。あの国では絶えず自分たちが日本の被害者だとかにしたてあげて、日本を攻撃していますから。

2015/8/16(日) 午後 2:51 [ 彩帆好男 ]

まったくですね。実際は加害者のくせして、いつも喚き散らして被害者ぶってばかり・・・
けどそういうワンパターンな手法も、もう日本国内じゃすっかり見透かされてますし、世界も徐々に気付き始めているようです。

国民の大多数が覚醒し、その後押しを得て安倍政権は強硬な態度に出てますので、もう日本にタカる事は叶いません。実に喜ばしい事です。
何にしろ奴等の遣り口は後先考えない支離滅裂なものばかりなので、最後は失敗に終わるでしょう。

2015/8/16(日) 午後 3:01 ZODIAC12

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工作員は確かに命がけです。日露戦争時の明石大佐などはまさにそう。しかし今の日本はスパイ防止法が無くてやりたい放題。もう一度民主党が政権を取れば工作員天国が再び始まります。

2015/8/17(月) 午後 8:07 千葉日台

ナイス☆どうもありがとうございました。

そうですね。スパイは即殺される事だってありますからね。いつの時代でも命懸けですよ。
明石大佐もいつ帝政ロシア政府に殺されてもおかしくなかったですよ。

スパイ防止法の成立はいつになるやら?ですが、公安とか内閣情報室とか、今頑張ってますよね。世論の後押しが追い風となってますから。
正式な法案成立までの間、彼らに防諜を期待するしかありませんね。

2015/8/17(月) 午後 9:24 ZODIAC12

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シナがやたら70年前の日本との戦いによる被害ばかりを強調するのは、やはり同じ手法と思われます。自分が被害者面することで加害者としてフリーハンドを得られると考えているのでしょうか。

2015/9/18(金) 午後 1:37 [ 彩帆好男 ]

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支那・韓国のやってる事は一種の苦肉計ですよね。本当に忌々しい連中ですよね。
単細胞の諸外国は鵜呑みにしてすっかり騙されてました。尤もロビー活動やらでメディアを買収していたのもありますが。

けれどあまりにワンパターンなので、もう諸外国にも嘘が気付かれています。これまでのようには行かなくなったかと。
いつまでも虚偽だけで渡っていける程、国際社会は甘くはありませんね。

2015/9/19(土) 午後 3:31 ZODIAC12


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