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| 第76話 |
| 鹿と洞穴のライオン |
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| 猟師の手から逃れられた鹿が、ライオンのいる洞穴の前までやって来た。 |
| そこに隠れようとして、洞穴の中へ入って行った。 |
| だが鹿はライオンに捕まり、殺される直前にこう言った。 |
| 「何と運の悪い事か・・・。折角人間の手から逃れられたのに、獣に身を委ねてしまったとは・・・。」 |
| このように人間の場合でも、小さな危険を恐れて、却って大きな災いに飛び込む者がよくいる。 |
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| 第77話 |
| 鹿と葡萄 |
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| 猟師たちに追われていた鹿が、葡萄の木の蔭に身を隠した。 |
| 猟師が去って行ったのを見て、鹿が葡萄の葉を食べ始めた。 |
| その最中に猟師の一人が戻って来て、鹿の姿を見付けた。 |
| そこで猟師は持っていた槍を投げて鹿に当て、深手を負わせた。 |
| 鹿は死ぬ間際に嘆息しながら言った。 |
| 「このような目に遭うのも当然か。何せ命の恩人である葡萄の木を傷付けてしまったのだからな・・・。」 |
| 恩人を傷付けて神の罰を受ける者たちにこそ、この話はしてやれる。 |
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| 第78話 |
| 船旅をする人々 |
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| 人々が船に乗り込んで航海に出た。 |
| 途中で大時化(おおしけ)となり、今にも船は沈みそうになった。 |
| 乗客の中のある者は、着ている服を引き裂き、泣き喚きながら祖国の神々へ祈り始め、もし皆の命が救われたなら、感謝の供物を捧げると誓った。 |
| やがて嵐は止み、凪が戻ると、助かった事を喜んだ乗客たちは、祝宴を張り、踊ったり跳ねたりして浮かれた。 |
| しかし舵取りの男は堅実な性格だったので、乗客たちに対して警告した。 |
| 「皆さん、我々はもしかしたら、また嵐に遭遇するやも知れぬ、そういうつもりで喜ばねばなりませんぞ。」 |
| 運は回り物だという事をよく心に留め、例え幸運だからと言ってあまり燥(はしゃ)ぎ過ぎるべきではないという事を、この話は説いている。 |
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| 第79話 |
| 猫と鼠 |
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| ある家に鼠がたくさん住み着いていた。 |
| 猫がそれを知るや、その家に出向いて、鼠を次々捕食して行った。 |
| 次々と食われて行くので、鼠たちはすっかり穴に身を潜めてしまった。 |
| 猫もそれ以上手出しが出来なくなったので、智恵を絞って鼠たちを誘き出そうとした。 |
| そこで猫は一計を案じて、腕木(うでぎ)[★79−1]の上に登り、そこからぶら下がって死んだふりをし始めた。 |
| だが一匹の鼠がこれを見て言った。 |
| 「おいおい、例えお前が革袋になったとしても、お前に近付くつもりはないぞ。」 |
| 人間の場合でも、賢い者は例え一度だけでも煮え湯を飲まされるような目に遭わされたのならば、二度とその相手の猫被りには騙される事はないという事を、この話は説いている。 |
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| [★79−1]・・・・・梁や柱などから横に突き出し、他の部分の支えとする木材。 |
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| 第80話 |
| 蠅 |
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| 物置の中で蜜がこぼれたので、蠅が飛んで来て蜜を舐め出した。 |
| 甘くて美味いので、この御馳走から離れまいと思っていた。 |
| だがその結果、足が蜜にべったりくっ付いてしまい、蠅は飛び立てなくなり、蜜の海の中へ溺れそうになった。 |
| 蠅は言った。 |
| 「情けなや・・・一時の快楽に耽ったが為に、我が身を滅ぼす事になろうとは・・・。」 |
| このように食い意地が原因で、あらゆる災いに見舞われる人は多くいる。 |
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