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| 第101話 |
| 黒丸烏と鳥たち |
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| ゼウス[★101−1]は鳥の王を立てようと思った。そこで鳥たちに参集する日時を指定し、布告した。 |
| その中で黒丸烏(こくまるがらす)は、己の姿が醜い事を知っていたので、歩き回って、他の鳥たちが落として行った羽根を拾い集め、それらを全身に貼り付けた。 |
| さて、集会当日となり、錦で着飾った黒丸烏がゼウスの前に姿を現した。 |
| ゼウスはその美しい外見を見て、黒丸烏を王に立てようと思った。 |
| だがそれに怒った他の鳥たちが、黒丸烏を囲んで、めいめい自分の羽根を毟り取ったのであった。 |
| その結果、表面を纏った羽根が全て剥がされて、元の醜い姿を晒す事となった。 |
| このように人間の場合でも、借金をする者は、他人の金を握っている間はさも一廉(ひとかど)の者だと錯覚されがちであるが、金を返してしまえば忽ち地の姿を晒すのである。 |
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| [★101−1]・・・・・ギリシア神話の最高神であり、オリュンポス十二神の一柱。全ての神々の王。全知全能の存在。 |
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| 第102話 |
| ヘルメスと大地の女神 |
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| ゼウスは人間の男女一対を形作った。 |
| そしてヘルメス[★102−1]に対し、この二人を地上へ連れて行き、どこを掘って洞穴住居を造れば良いのかを教えてやるよう命じた。 |
| それでヘルメスがその使命を果たそうとしたが、大地の女神がその妨害をしようとした。 |
| ヘルメスは「ゼウスの命令である」と言い、あくまで使命を遂行しようとした。 |
| そこで大地の女神が止むなく言った。 |
| 「ならば好きなだけ掘らせるが良い。 |
| しかしその者等はやがて、掘ったものを嘆きと後悔の涙と共に返す事になろう。」 |
| 気安く借りるものの、いざ返す段になると苦しむ連中にこそ、この話はぴったり当て嵌まる。 |
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| [★102−1]・・・・・オリュンポス十二神の一柱。守護する範囲が多岐に亘る、多芸多才な神。 |
| 幸運と商売と富・財産等の守護神(その他にも色々)でもあり、狡猾で策略に長けている事でも知られる。 |
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| 第103話 |
| ヘルメスと職人 |
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| ゼウスがヘルメスに命じて、全ての職人に嘘吐きとなる薬を振り掛けさせる事にした。 |
| ヘルメスは薬を調合し、分量を均等に分けると、一人一人に振り掛けた。 |
| そして残るは靴職人のみとなったが、それでも薬はまだ大量に余っていた。 |
| そこで乳鉢を取り上げると、丸ごとぶち撒けた。 |
| この時以来、職人は皆一様に嘘吐きとなったが、中でも取り分け、靴職人は特に甚だしくなった。 |
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| 第104話 |
| ゼウスとアポロン |
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| ゼウスとアポロン[★104−1]が、互いに弓術の腕を競い合った。 |
| アポロンが弓を引き絞り、矢を放つと、ゼウスはその矢を射た距離を一跨ぎした。 |
| このように自分よりもずっと力の上回る相手に挑もうとすると、相手に歯が立たないばかりか、笑い者にまでなってしまうのだ。 |
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| [★104−1]・・・・・オリュンポス十二神の一柱。ゼウスとレトの息子。 |
| 主に芸能・芸術を司り、牧畜の守護神。弓矢を武器に使う。 |
| よく太陽神と間違われるが、ギリシア神話における太陽神はヘリオスである。 |
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| 第105話 |
| 人間の寿命 |
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| ゼウスが人類を創造した時、寿命を短いものとして造った。 |
| しかし人間は智恵を働かせ、冬が来れば自分で家を建てて、そこに住んだ。 |
| ある時の事、馬が凍て付くような寒さに堪え切れず、人間の所まで駆け付けて来た。 |
| そして人間に宿を貸して欲しいと頼み込んだ。 |
| すると人間は、 |
| 「泊めてやってもいいが、但しお前さんの寿命の一部を分けてくれる事が条件だ。」 |
| 次に牛が嵐に堪え切れずに、同じようにやって来て、宿を貸してくれるよう頼み込んだ。 |
| これまた同じく、寿命の一部を譲る事を宿泊させる交換条件とした。 |
| 牛も寿命を分けて差し出して、泊めさせてもらった。 |
| 最後に犬が凍死寸前となって訪れ、同様に自分の寿命の一部を対価として払い、泊めさせてもらった。 |
| こういう経緯から人間は、まだゼウスが定めた寿命しか生きられなかった頃は、純真で善良だったのに、馬から貰った年齢になると鼻息荒い高慢ちきとなるようになった。 |
| そして牛から貰った年齢になると、厄介者となるようになった。 |
| 更に犬から貰った年齢になると、怒りっぽくて喧々となるようになった。 |
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