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| 第126話 |
| 黒丸烏と狐 |
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| 腹を空かせた黒丸烏が、無花果(いちじく)の木に止まった。 |
| それは冬無花果でまだ熟れていないのに、無花果の実が生るのを待っていたからであった。 |
| いつまでも待ち続けている様子を見掛けた狐が、烏に尋ねてその訳を知るや、こう言った。 |
| 「夢を見させはしても、腹の足しとはならぬ希望に身を委ねるなど、正気の沙汰ではないぞ。」 |
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| 第127話 |
| 嘴細烏と犬 |
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| 嘴細烏が女神アテナに生贄を捧げ、祭事が終わった後の直会(なおらい)[★127−1]に犬を招待した。 |
| 犬が怪訝に思い、嘴細烏に真意を尋ねた。 |
| 「何故アテナへの生贄の儀式などと、無駄な事に金銭を費やすのだね? |
| アテナは君たち烏の種族を大層嫌って[★127−2]、君等の示す前兆を誰も信じないように仕向けた程じゃないか。」 |
| 「いや、だからこそだよ。 |
| アテナが我々を嫌い、憎んでいる事を知っているからこそ、険悪な仲を好転させようと思ってね。」 |
| このように敵への恐怖心から、敵に恩義を施そうとする者は多い。 |
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| [★127−1]・・・・・神事(祭事)が終了した後の打ち上げの宴会。 |
| 儀式が済んだ後に、神霊に捧げた神酒や供物等を頂戴し、参列者同士で分かち合って飲食する事で、神霊の力と加護を得る事を目的とする。 |
| [★127−2]・・・・・烏と梟(ふくろう)の両者は敵対関係にあるとされる。 |
| 梟が夜中に烏の卵を奪い、烏は日中にその仕返しをすると言われる。 |
| その為に梟を自身の眷属とするアテナが、烏を憎み嫌っているという話が伝えられている。 |
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| 第128話 |
| 烏と蛇 |
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| 餌に困っていた烏が、日溜まりで蛇が眠っているのを見付けた。 |
| そこで獲物を見付けられた烏はさっと舞い降り、蛇を引っ掴んだ。 |
| だが蛇も反り返って噛み付いた。 |
| 蛇に反撃され、死にそうになった烏は言った。 |
| 「ああ、情なや・・・・。 |
| 思わぬ拾い物を見付けられたと言うのに、それが元で死ぬ羽目になろうとは・・・・。」 |
| 宝物を見付けたばかりに、己の命を危険に晒すような者にこそ、この話はしてやれる。 |
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| 第129話 |
| 黒丸烏と鳩 |
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| 鳩小屋で飼われてる鳩たちの餌が上等なのを見た黒丸烏が、自分も同じく御馳走に与ろうとした。 |
| そこで鳩に成り済ます為に、全身を白く染めて小屋の中へ紛れ込んだ。 |
| 黒丸烏も黙っている間は、無事正体がばれる事もなく、同じ鳩の仲間だと思われていた。 |
| だがうっかり声を出してしまった為に、鳩たちから怪しまれ、小屋から追い出されてしまった。 |
| 上等な餌にありつき損ねた黒丸烏は、仕方なく仲間たちの下へ戻った。 |
| だが今度は、全身を白く染めていた為に自分の事が分かってもらえず、同族たちからも怪しまれてしまい、こちらも追い出されてしまった。 |
| こうして黒丸烏は両方を得ようとして、結局どちらも得られなかった。 |
| 以上の事から我々も、貪欲は何ら益する所がないばかりか、しばしば今あるものを失わせてしまうという事をとくと考え、己のものに満足せねばならない。 |
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| 第130話 |
| 胃袋と足 |
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| 胃袋と足が御互いの能力の事で論争となった。 |
| 足が事ある毎に、 |
| 「私の方がずっと強いぞ。腹なんかそっくり運べるんだからな。」 |
| 「けどな、お前さん。そうは言っても私が栄養を補給してやらねば、お前さんだって何も運べやしないのだぞ。」 |
| このように軍隊においても、率いる将軍に最善の策がなくば、折角の大軍勢も無に等しいのだ。 |
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