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・・・続き、


 ――災害医療講座の教授は何人ですか。

 今のところ2人で、一人は外科、もう一人は麻酔科の先生の予定です。

 ――医師の数は揃ったとしても、医療体制をどう再構築していくか、町をどう再生させるかが課題。

 手探りですね。地元の方々から大学に来ている要望は、100%以上満たしています。しかし、それだけでは問題解決にはならない。介護、それからコメディカルの方々の問題。これらは県や国が一体として取り組まなければならない。

 その際、念頭に置かなければいけないのは、我々地域の人が頑張らない限り、誰もよそから助けには来ないということ。「弱者の恫喝」のように、「お金がほしい、人がほしい」では済まない。地震や原発事故が起きた。そこに自分が居合わせたことは天命なので、当事者である我々が頑張らないと、誰もそれを、「大変だ」と共感を持って応援してくれる人はいません。

 これが考え方の基本ですが、問題は非常に複雑、多様なので、それにいかに対応していくかはやはり大変。特に放射能の「安心」の面ではまだこれからで、一部のメディアは匿名で、しかもいい加減なことを書いていますから……。その記事により、懸命に頑張っている人たちが、「匿名の風評被害」に対応しなければならなくなる。先日もある週刊誌に放射能問題が取り上げられ、問い合わせの多数電話があり、それに大学は対応しなければならなくなった。しかし、記事をよく読んでみると、何も断定的なことは書いていない。こうしたことはよくあり、対応する行政をはじめ、関係者も被災者で、家族が避難している人もいる。厳しい状況下で、対応に忙殺されて、また仕事が増える。ただでさえ人が少ないにもかかわらず、バタバタと倒れています。「風評被害」への対応に力を割かなければいけないのは、悲劇です。全く生産的ではありません。

 ――先ほどの「寄り添い型の医療」ですが、南相馬市などには高齢者が多く、一方、子供や若い人たちは福島県の他地域に避難している。その方への対応もそれぞれ必要だと。

 はい。妊婦、子供など、それぞれの世代の方に対して医療面で求められる役割は皆違います。今までの医療とは異なり、「キュア」ではなく、「ケア」の思想を持って、その場その場で対応するのではなく、その人の人生を追いかけていかなければいけない。放射能をいくら除染すると言っても、限界があり、「共生」していかなければいけない。「ケア」の発想がないとやっていけない。例えば、今は子供であっても、5年後にはもはや子供ではなくなる。高齢者は亡くなるまで面倒を見る。妊婦さんは母体だけでなく、生まれてくる子供について今後年十年も見ていかなければいけない。絶えず、その人の人生に寄り添っていくことが求められるのです。

 ――大学としてどこまで責任を負うかという問題もありますが、今は福島県民の健康管理調査は大学が中心となって取り組まれています。

 今、80人強の体制ですが、とても足りず、どんどん人数を増やしていかなければいけない。ただし、スタッフの多くが、心身の不調を来しています。コールセンターには怒りの声が寄せられる。それに対応しなければいけない。国は「予算を付けたから、やってくれるだろう」と思っているのかもしれませんが、人の確保は容易ではありません。

 ――健康管理調査の担当は、大学の職員でしょうか。

 大学の臨時職員と、県の職員が中心です。現状では、基本調査票(問診票による被ばく線量の把握)の回収率は20%強。私は整形外科、脊椎の専門家ですが、5年後、10年後の手術成績を出すために患者さんに手紙を出すと、戻ってくるのは10%程度。これに比べれば20%は、ある意味、高い数字。ただ20%では統計的に何もできないので、当面50%以上を目指します。ただ、18歳までの子供の甲状腺検査の実施率は非常に高く、80%を超えています。親は心配で関心があるから、子供を連れてくる。基本調査票の回収率を20%を50%に上げる、子供たちについては今後、フォローを続ける。これが我々に求められる役割。これほど大規模な健康調査は、歴史的にも、世界的にも例がありません。

 ――今は調査が中心ですが、そのフォローの体制構築も必要になってくる。

 はい。今回のような低線量、長期被曝に関する調査は例がありません。「そんな調査、できるわけがない」「そんな調査をやっても、ネガティブなデータしかでない」などと言う方がいます。しかし、ネガティブデータでもいいのです。被害を受けた県民が「安心」を得るためには、どうすればいいかという手段であり、我々としてはやり抜かなければいけない。サイエンスもさることながら、この健康管理調査は心の問題であり、大学として最重要課題として取り組んでいます。「県民の健康を一世代、つまり30年にわたって追跡していく。だから安心してください」と言ったわけですから、それを忠実にやっていくしかない。

 ただ我々だけではとても無理なので、関係学会、行政などの支援も必要です。特に、健康管理調査により、個人情報が集積されますから、セキュリティー対策も重要。大規模なデータベースも構築しなければいけない。そのためには新たな組織を作らないといけない。

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