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カラスノエンドウが開花しています。 どこにでも生えているマメ科の草本です。 エンドウマメに似ているけど、人が食うような代物ではない。 ということで、カラスのエンドウという名になったわけです。 じゃあカラスなら食うのか?と言われると困ってしまいますが。 子どもたちは(自分の小さな頃を含め)この植物の朔果を巧みに 加工して、「ぴぃ〜」と鳴る笛に仕立てて遊んでいました。 そのため本種はピ〜ピ〜マメという俗称を持たされ、標準和名 よりも浸透している(子どもの間では)という状況でした。 皆さんの中にも、同じような思い出をお持ちの方がいらっしゃる のではないでしょうか? さて、本種の茎や葉の上では、やたらとアリの仲間を目にする ことがあります。 偶然居合わせたというわけではなく、明らかに何かしらの理由で 集まってきているといった感じです。 これは、カラスノエンドウが蜜腺を持っていて、蜜を分泌して アリを誘引しているからなんです。 植物の器官の一つに、托葉というのがあります。 葉柄や花柄の根元にある、葉のできそこないのような、小さな 付属体です。葉や花が芽生える際の保護材として機能している とされています(それ以外の機能を有する場合もありますが)。 カラスノエンドウはここに蜜腺をもっています。上の写真のように アリが托葉のあたりに留まっているのは、蜜を集めるためなんです。 なぜカラスノエンドウはわざわざ蜜を作り、アリに提供して いるのでしょうか。 蜜というのは、いわばカロリー・栄養の塊。アリにやらずに 自分の成長にその栄養を使った方がいいんじゃないか? などと思ったりもします。 が、蜜をアリに提供することは何ら無駄な行為ではなく、むしろ 個体の維持にプラスに働いているようです。 植物体の上にアリを徘徊させれば、カラスノエンドウにとっての 害虫―葉を食べたり汁を吸ったりする虫が寄り付きにくくなる、と。 つまり、蜜でガードマンを雇っているわけです。 アリにやる蜜など、葉を食い散らかされたりする損害に比べれば たかが知れているわけですから、これはいい保険になります。 ピ〜ピ〜マメなどという、間の抜けた名で呼ばれる植物ですが、 なかなかの戦略家ですねぇ。 と、ここまで聞くと、とても完成度の高いシステムに思えますが、 ある種が防御手段を獲得しても、いずれ他種が対抗手段を獲得し、 イタチごっこを続けていく…というのが生き物の進化の定め。 皆さんは「アリマキ」と呼ばれるアブラムシたちをご存知ですか。 多くのアブラムシの仲間は、草の汁を吸いつつ、余剰な糖分を排泄 します。これにつられてアリがやってきます。 アブラムシを直接食べるような肉食昆虫が近づけば、アリが排除 してくれたりします。 こっちでも、甘い蜜でアリをガードマンとして雇っているわけです。 そうなると… カラスノエンドウにアブラムシ(ソラマメヒゲナガアブラムシなど) がついた場合、アリはどう振舞うのでしょうね。 カラスノエンドウに義理を果たすため、アブラムシを攻撃するか。 アブラムシの誘惑に乗り、アブラムシを保護するか。 とても興味があります。 アブラムシに寄生されているカラスノエンドウは結構見られます。 下の画像のように。 とりあえずこの個体では、アブラムシの誘惑の方が強かったのかな。 しかし近所のカラスノエンドウを見ていくと、アブラムシ寄生率は さほど高くなさそうです。 そうなると、全体的にはカラスノエンドウの作戦勝ちなのかな。 これを調べていくのは大変ですね。 アリ不在/存在の双方場合のアブラムシ寄生率を調べて、アリによる 防御効果の程度を調べつつ、アブラムシ寄生個体上でのアリの行動 も観察しないといけない。もっと突き詰めれば、アブラムシの寄生 密度の高低がアリの行動に影響を及ぼすかどうかとか、いろいろ やっていかないと。ああ難儀だなぁ。諦めよう。 誰か教えてくれないかなぁ。
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