ぼくとがま…

生きものについて、ぼちぼち。

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増やしたくないのなら、イヌやネコのように避妊・去勢等の処置をして
やればいいじゃないか、という意見もたまに聞く。

シカの個体にとっては、子孫は残せないものの、寿命を全うすることは
何とかできそうではある。
まあ、無駄に殺すよりは、気分はいいかもしれない。


しかし、シカの個体数調整をローコストでやっていこうというときに、
このやりかたは効率は悪い。

避妊や去勢の手術をするには、まずシカを捕まえる必要がある。
そして手術して、治癒を待って山に放すことになる。
時間も手間もコストもかかるわけだ。
山に放したのち、寿命が尽きるまではその辺の植物は食べるし、場合に
よっては里に降りて来て野菜を食うかもしれない。

そんなことをするより、捕えた時点で安楽殺したほうが効率的だと言う
人も多かろう。たしかにその通りでもある。


不妊ワクチンというものがある。
ワクチンを接種したら、その個体は子供を残せなくなるという代物だ。
日本語のサイトを調べても、せいぜいペットの避妊なんかで少数の事例が
ヒットするくらいだが、Infertility Vaccine Deer 等それらしい単語で
検索すると、野生のシカでの適用に関する海外の論文がなんぼか見つかる。

PZPワクチンというのがよく用いられるようだ。
メスに接種すると、受精がうまくいかなくなり、子どもを作れなくなるそう。
シカに限らず、幅広い哺乳類で効果があるらしい。

さて、ワクチンを接種するには、個体を捕まえないといけない。
もしくは、空気銃や吹き矢でシリンジを打てる程度に肉薄しないといけない。

避妊手術に比べれば随分楽ではあるだろう。
しかし単純に個体数を減らそうと考えた場合、わざわざワクチンの接種を
しなくても、その場で弾丸を放って殺処分等をする方が、やはり効率面では
よさそうだ。結局、避妊手術なんかと同じである。
そんな手間と金をかけず、淡々と殺処分せよという声はあがるだろう。

また、不妊ワクチンは、接種すれば一生涯効果があるということでもない
ようだ。(ちょっと古い情報なので、いまはもっと効果が長続きする技術が
開発されているかもしれないが、不勉強なのでよくわかりません)



そう考えると、不妊処理というのは、個体数のコントロールにすごく貢献
してくれるような感じはしない。

減らしたいけど、殺したくないという意見が強くて、それを許容できる
環境(世論の意向、予算、時間…)があるといった場合でないと、なかなか
現実的にはむずかしいだろうと思ったり。



一方、不妊「ウイルス」という代物もあるそうだ。

遺伝子を一部組み換えたウイルスを感染させて、感染個体の繁殖能力を
奪うもので、ネズミやウサギで実験例(実験室内ばかり?)があり、高い
確率で不妊化できるという。
Infertility virus とかで検索をかけると、やはり海外の論文が多少
見つかる。

生きたウイルスを用いるものであるから、接種した個体から別の個体に
感染する。野外にこのウイルスをバラ撒けば、人の手を煩わせることも
なく、勝手にどんどん不妊化個体が増えて、個体群が縮小していく―と、
理屈上はそのようになるわけだ。
たしかに便利そうな気はしてくる。

シカでの事例は知らないが、技術的にはきっと、開発出来ちゃうのだろう。


しかしまあ、これはちょっと怖い。

ともすれば効果があり過ぎて、絶滅というストーリーも描ける。

他の種への感染も心配だ。ウイルスは変異する。シカだけに感染させる
つもりが、ウイルスの変異でカモシカにまで感染、などというのは勘弁して
もらいたい。
下手をして、家畜にも感染しちゃいました、なんていうことになると、もう
目も当てられない。

その導入には、慎重にならざるを得ないだろう。

というか、ウイルス任せというのは実際は制御不能で、個体数調整という
「増えすぎれば減らす、減り過ぎれば増やす」的な考えにはそぐわないの
では。そう考えると、導入すべきではないと思う。

無題

急に更新が始まったと思いきや

急にテイストが変わってしまったと

お嘆きの方もお喜びの方も、そもそも関心がない方もいらっしゃるかもしれません。

人生色々あるのです。

何年か前に更新が止まった後、何があったのかといいますと、

・仕事の都合で岡山に引越し

・自分の不手際で、がまさんを冬眠中に死なせてしまった
 自分の飼育技術とがまさんへの思いやりの至らなさを痛感

・撮りためた写真の一部がPCのクラッシュで失われる

・腰痛の悪化と回復

・仕事が妙に忙しい

・ツレと疎遠になった

等々、色々なことがあったわけです。

しかしながら、図太くしぶとく世にのさばるのが私です。

今後も、寝る前に思いついた雑念を駄文に転換し、ストレス解消もかねて書き連ねていくわけです。

シカに困る

野生鳥獣による影響というのは別に農業に限った話でもない。

森林生態系もかなりよろしくない(かもしれない)状況に陥っているところが出てきている。
シカの勢力拡大によるものだ。

知床にしろ、南アルプス、日光、浅間、大台ケ原、剣山など、どうもシカによって自然環境が
影響を受けて、植生の衰退・変化が進んできて、なんだかまずいことになってきている地域が
すでにある。

ご存知のとおり、シカは植物を食う。
シカが増えれば、食われる植物も当然増える。
植物の再生能力を上回るスピードで食われれば、当然植生は衰退する。

理屈上は、そうやって植生が衰退したら、シカは食うものを失って自滅して、数を減らす。
個体群のクラッシュというやつだ。
シカによる採食圧が減ってくると、植物は再び勢力を増してきて、植生は一応回復する。
シカも絶滅さえしなければ、再び豊富な餌の元で個体群を大きくしていく。
で、また植物は減る。
シカも減る。
そして植物増える。
そしたらシカも増える。

そういうのを何度も繰り返しながら、遠い未来、どこかにバランスを見出すのかもしれない。


が、その状態が、人間にとって好ましいものかどうかは別の話。
そこに至る過程が、人間にとって好ましいものかどうかも、別の話。
他の生き物にとって好ましいのかも別の話。

希少な植物が絶滅に追いやられているとか、そこそこしっかりした森林でないと生きては
行けないような他の動物も付加逆な打撃を受けてしまっているとか、生物多様性の劣化と
言えるような事態も当然想定されるわけ。

観光資源にもなる高山のお花畑が消えてしまっているとか、新緑や紅葉を見せてくれる
立派な広葉樹林が貧相になっているとか、植生の衰退で土壌流失なんかが進んで荒れっぽい
疎林にしかならなくなったとか、そういう可能性が多分にあるということ。

それでもなお、それが自然の摂理だから受け入れるべきだという考え方もあるだろう。

一方で、それでは困るという考え方もある。

前にも何度も書いてるが、ここ何千年かの日本の森林生態系は、ある程度の人の関与も
あった上で成立している。上位捕食者の不在など、失ってしまった要素もある。
だから、すべてが自然任せで、ほーら元通り!というわけには行かなさそうだ。
人の関与を排してしまうと、どんな生態系になるかわかったもんじゃない、という不安
もあるわけだ。

そんなこんなで、現在のトレンドは、シカの個体数を人為によって調整してみるという
方向に進んでいるようだ。

ここで必要なのが、獲ろうと思った数をきちんと取れる、かつ勝手に取りすぎたりしない、
そういう筋のいいハンター。
しかしハンターは少なく、どこも苦労をしていると。

また、何頭とればいいのかを考える上では、現在シカが何頭いるかもきちんと把握したい
ところ。でも数の推定には限界がある。生息数把握の技術向上も課題。
だから最近は、捕獲した数、推定数、捕獲に要した労力なんかも加味しながら、色々と
分析していくことも多い。
というか、どうしても不確実性が伴うので、そこはある程度「わからない」こともあるのを
前提にして、順応的管理をしようぜという話にもなってくる。

被害のひどさ?

野生鳥獣による農業被害のひどさというのは、どの程度のものなのか。

平成22年度では、鳥獣による農業被害額は約240億円となっている。
240億で売れるはずだったものが、鳥や獣の腹を満たすために消え去ったと考えると、なんだか
ものすごく損をしている気がしてくる。

さて、日本国内の農業総生産は、同じ年では4兆1999億円となっている。
鳥獣被害額は、総生産に対してどれほどの重みを持つのか。単純な割り算だ。0.6%ほどになる。

また、日本の総農家数は、同じ年の農林業センサスの結果を見ると、約250万戸となっている。
農家1戸あたりの鳥獣による農業被害額も、単純計算すると、1戸あたり1万円弱になる。


大まかな数字で、全体論としてみるとこうなる。
なんだか、あまり大したことはないように思えてくる。

しかし、鳥獣被害が現代の農業生産の最大の敵であるとでも言うような声は多いわけ。


全国的な鳥獣による農業被害〜というのは、農家みんなが困っているわけではなくて、
あんまり困っていない人(地域)と、めちゃくちゃ困っている人(地域)と、双方がいる
のだろうなと察しがつく。

じゃあどういう人(地域)が困っているのかというと、ここから先はなんにも調べてないので
妄言になるわけですが、やはり鳥獣の出没が多い中山間地域とかいうことになるのかなと。

そうなのだとしたら、あえて鳥獣被害対策として独立した問題にせずに、中山間に人を呼ぶ、
活性化させる、生産品に付加価値を持たせる、限界集落の回避なども含めて、中山間地域を
どうして行きたいのか・どうすべきかというところに入れ込んでしまって考えたほうがよい
ような気もしてくる。まあ妄言である。

山に食べ物がないから、人里に鳥獣が下りてきて、農業被害を出す。
鳥獣を山に釘付けにするには、食料に困らないような、豊かな森作りをすればよい。

確かに一理ある。
でも落とし穴がある。

豊かな森作りをして、鳥獣の餌資源が増えると、おそらくそれに追随して鳥獣も増える。


環境収容力いっぱいに増えようとするのが生物である。
産めよ増えよ地に充ちよ、を地で行くわけ。
あんまり、自主規制というのは期待できない。

せっかく豊かな森作りをして環境収容力を上げても、鳥獣はそれに合わせて増加する。
そして環境収容力に追いつき、あるいは反動がついて追い越したときには、ふたたび
人里に下りてくる可能性がある。
そうなったとき、絶対数は、以前よりも増えているわけだ。対策は今よりも大変だろう。


だから、豊かな森作りだけでは十分ではない。農業被害のことを考えたら特に。
豊かな森作りをして環境収容力を上げつつ、シカやイノシシを環境収容力の上限近く
まで増え放題にしないための方策もセットで必要。多分。

その方策というのは、手っ取り早く確実なのは、人による捕獲。

また、十分な議論は必要だが、上位捕食者の導入も可能性としては無くはない。
かもしれない。

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