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フクラスズメが樹液を吸っているところを見ていると、樹液がおいしそうに感じる― というふうに先日ブログで書いたところ、そのロジックでいくと汗糞尿その他まで おいしそうに思うことになるという指摘を受けてしまいました。 うん、これはやはり「(例外あり)」というのを付け加えておけばよかった。 汗ならまだしも、糞尿はちょっと厳しいです。糞虫が獣糞をガツガツ貪っている様を みると、ああうまそうに食ってるなとは思いはすれど、糞自体がおいしそうに思える ことはありません。 しかしここで、ぼくはいったいどういった属性のものまでおいしそうと思えるのか、 疑問が生じて参ります。 そこで今回は、このような光景を題材に考えてみましょう。 もうお馴染みの(?)フクラスズメ。 しかし、食しているのは樹液ではありません。 釣り人が投げ捨てたと思しき、魚の死体です。 これから染み出る液体をすすっているようです。 樹液だけでは得られない、タンパク質やミネラルを摂取しているのでしょう。 しかし、シデムシに並んで死体あさりというのは、なかなか壮絶な光景です。 さて、こいつをおいしそうと思えるかどうか……。 …………。 あれ?結構おいしそうに思えるぞ? 表面が乾いているから干物っぽくもあるし、概ね酒の肴につまんでいる塩辛とか 熟れ寿司とかに近い感覚ではなかろうか。 うーん、今日のぼくは、暑さでずいぶん参っているようです。
頭を冷やしてから考えなおしてみよう。うん、それがいいそうしよう。 |
昆虫
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カブトムシが!いましたよ! 幾つになっても、この昆虫を見るとテンションが上がります。 誰が何と言おうと、キング・オブ・夏休みの昆虫少年の友であります。 おそらく日本においては、最もよくその形態と生態を知られている昆虫では ないでしょうか。 クヌギやコナラなどの多い林が生息地で、土中に生まれた卵からは地虫型の 幼虫が生まれ、その幼虫は腐植を食べて育ち、夏を前に蛹室を作り、蛹は 赤みがかったオレンジ。羽化直後の鞘翅は白く、だんだんと色がついてくる。 オスは角があり、メスにはない。樹液に集まる―。 日本人男性の多くが、諳んじることができるに違いない(と思います)。 クワガタムシに比べ、希少価値とか金銭的価値に欠けると言われ、年1化で 寿命が短いと言われ、飼育・繁殖が簡単(=単純な生活環)で、大したことの ない甲虫だと言われることもあります。まあ、そういう面もあります。 が、そうは言ってもカッコいいものはカッコいいのだから仕方ない。 まず、でかい。 体長が長いとか幅が広いとかではなく、塊として、体積として大きいです。 また大きいゆえに力も強いですね。 そして、角がある。 頭に角が生えているなんて状況ではなく、角が頭、頭が角。この一体感に 力強さを感じます。先端でやや上方に反りながら四つ又に分枝するところも、 派手ではないが手の込んでいる造形とでもいいましょうか、実にいい感じ。 それから、羽音がでかい。 プ〜ンとかブーンなどという気の抜けた羽音ではありません。ブルォォーン という低く力強い、重厚感のある羽音です。 夏の夜の樹液スポットで抜群の存在感を示すのは、やはり本種だと思います。 幼少の折、実家の近くにはユニードというスーパーがあり、毎年そこでは ゴールデンウィークになると、子どもたちにカブトムシの幼虫を配るという イベントを行っていました。もちろん、ぼくは並んでゲットしました。 同じスーパーで市販の昆虫マットを飼い、それはそれは一生懸命に飼育。 (ああ、ユニードがカブト幼虫を配っていたのは、昆虫マットを買わせる ための撒き餌だったんだな…) マットの水分管理や糞のよりわけに尋常ならざる熱意を投じました。 初めは1頭も羽化しませんでした。水のやり過ぎで、過湿な状態だったのが 原因と思われました。 次の年は、水をやる量を少なくしました。すると5〜6頭中2頭が蛹化。 いずれもメスでしたが、それはそれは大層嬉しいものでした。 しかし、羽化しませんでした。当時は原因が分かりませんでした。 その次からは、全滅することはありませんでした。 初めて羽化させたのは、メスの個体でした。角の無い蛹を見て、多少落胆 したのを覚えています。 この次は、オスメスともに羽化に成功。そのままペアリングして、産卵 までこぎつけたのでした。 野外に昆虫採集に行ったときも、お目当てはカブトムシの成虫でした。 結局はつかまらず、後で親にねだってユニードで買って貰いました。 確か♂♀ペアで800円でした。結構高かったですね。 もう大きい個体は売れてしまっていて、角の小さな頼りないオスと、妙に 大きなメスのペアでした。 これもきちんと飼育し、交尾、産卵までこぎつけました。 累代飼育できそうな感じだったけど、もうシーズンオフだと思った家の人 (祖母か母が怪しかったなぁ…)に土ごと捨てられ、とても落胆しました。 実家の近所にはコナラやクヌギ、柳の類の大径木が見当たりませんでした。 学習図鑑などに載っているカブトムシの採集方法とは、「クヌギやコナラと いったドングリの木から出ている樹液に集まるよ!そこを探そう」でした。 ぼくは、「その場所がわからんけん苦労しとっちゃ!」と図鑑に向かって ぼやいていました。 ユニードで買った人工樹液を小学校の植栽木に塗っても、集まってくるのは アリにカナブン、コクワガタなどでした。 そこらへんの木に穴を開けてみても、出てくるのは図鑑で見るような樹液 ではなく、やはりカブトムシは来ませんでした。 酒と酢と黒糖をミックスして撒いてみても、やはりカブトは来ません。 夏休みに山村の田舎に帰省して、大きなカブトムシやクワガタ類を捕まえて 来る同級生が、羨ましくて仕方がありませんでした。 …と、それゆえに、野外でカブトムシを見つけたときは、それはそれはもう テンション上がりまくりでした。 ある工場のグリーンベルトとも言うべき某公園の片隅に、クヌギが生えて いたんです。自生じゃなくて、植栽だったかもしれません。 その、それほど大きくないクヌギの、当時のぼくの胸の高さくらいのところ から樹液が出ていて、そこに1頭のカブトムシ♂がいたのでした。 ホントにクヌギの樹液に集まっている! ホントに野外にもいるんじゃないか!しかも近所にいたんじゃないか! その時のぼくは、後光が差すくらいの、心からの素晴らしい笑顔であったに 違いありません。 ……。 ああ、カブトムシと聞いただけで、幼少の頃の鮮明な記憶が脳裏をよぎるよ。
何故だか涙も出るよ。 |
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ヨツボシケシキスイがいましたよ。 言わずと知れた、樹液スポットの常連客。 漢字にすると、四星景色吸いと書いてしまいそうですが(実はぼくは小さい頃、 こういう解釈だと思っていました)これは間違い。 景色を吸うなんて詩的表現はなんだかカッコいい感じもしますが、そんな腹の 足しにならないものを吸う虫もいませんし、吸えそうにないものを吸って無く してしまうような、超絶イリュージョンを見せる種ではありません。 ヨツボシ・ケシ・キスイというのが、正しい構成。 キスイとは木吸いもしくは樹吸いの意であるようで、木に集まって樹液を吸う 様子をあらわしたものとか。 で、ケシというのは芥子粒のこと。 小さいものを芥子粒のような○○と表現しますが、これは昆虫の命名においても 多用される比喩です。実際に芥子粒ほど小さいというわけではありません。 ということで、四つの紋を持った小さな木吸い虫の意で、ヨツボシケシキスイ。 うんうん、なるほどね。形態と生態が理解できる、いい種名ですね。 本種は大きくなっても13mm内外で、カブトムシやクワガタ、カナブンなど、樹液 スポットを占拠する甲虫に比べると、ずいぶん小さいです。 他の大きめの昆虫たちは、ヨツボシケシキスイくらいの大きさの昆虫をライバル とはみなさないようで、樹液スポットから追い出そうとすることも滅多にない ようです。 加えて、やや細長くて、扁平な体つきをしているので、樹液の滲み出ている孔の 微妙な隙間に身を納めたり、他の昆虫の足元に控えたりしていて、控え目かつ したたかに樹液にありついています。 体の小ささを活かした、賢い生き様だと思いますね。 じっくりみると、結構発達した大顎があります。樹液の出ている部分をガジガジ やって、樹液の分泌を促すのかな。それとも、クワガタのように、産卵する時に 使うのでしょうか(よく分かりません…)。 全身もカチっとしていて、塊感も高い。 そして何といっても、黒地に映える赤い紋。いいアクセントになってます。 全体をみると、ちょっとおしゃれなクワガタムシのといった感じかな。 うんうん、かっこいいじゃないか。 そうそう、本種も「黒地に赤い四つ紋」をもつ甲虫。ヒメオビオオキノコと同様、
この模様に何か特別な意味があるのか分かりませんが、異なる種群間で見られる 奇妙な一致には、何か理由があるような気がしてなりません。 |
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オオクビボソゴミムシがいましたよ。 ゴミムシにしては細めの体形で、種名のとおり首(頭部と胸部の境目と言った方が 正確なのでしょうが)が細く、なんだか妙なゴミムシです。 しかしながら、オーソドックスな黒褐色の鞘翅に赤みの強い頭部、黄色がかった 腿節という配色は、派手すぎず地味すぎず、なかなかいい塩梅です。 ゴミムシにしては珍しい色形(…だと個人的に思っているのですが)ですが、特に 稀な種というわけでもなくて、林床の落ち葉をかき分けたり、浮き石や枯れ木を ひっくり返したりすると、それなりの頻度で出てくるように思います。 で、そのたびに、妙な甲虫がいるぞ、なんだなんだと思い、ああまたこいつかと 思い出すのが、ある種のセオリーになっているような気がします。 頭が赤いためか、ぼくの脳内では、一瞬ツチハンミョウか何かと誤認識している ような感じがします。 この不具合はいつまでたっても修正されません。ああ、自分の頭もパッチ処理 したいなぁ。 画像はコンクリートの階段の上で、餌を咥えているところ。 見たところ、クロオオアリのような大形のアリの腹部を齧っているようですね。 死体にありついたのでしょうか。それとも生きている奴をを襲ったのかな。
この写真からは分かりませんね。この光景の10分前を見てみたいですねぇ。 |
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ゴマダラチョウがいましたよ。 木の幹の上で翻る、白と黒のコントラストが視線を奪います。 同じゴマダラなのに、ゴマダラカミキリよりもずいぶんかっこいいような。 一つ一つの斑紋が大きくて、堂々とした感じだからでしょうかね。 翅の裏は地味かと思えば、表面と同じようなツートンカラー。 表裏のない、潔い奴ですな。 樹液に集まる鱗翅目は地味なものが多いせいか、本種はやたらと派手に見え、 むしろ場違いな感じさえするような気がしますね。 口吻が黄色いところも、なんだか妙な違和感を感じます。 本種はタテハチョウ科のチョウ。開長70mmほどの、結構大型のチョウです。 オオムラサキやアゲハ等に比べると小ぶりですが、そのくっきりはっきりと した模様とあいまって、やたらと存在感が感じられます。 この存在感のある大きな翅をばたつかせるもんですから、隣で樹液を吸って いたスズメバチもおっかなびっくりです。ついにはゴマダラチョウの貸切に なってしまいました。あらら。 スズメバチには、チョウに攻撃能力がないことを見抜けないんでしょうかね。 それとも、自然界の大定理である(と思われる)、「大きい=強い」に忠実に 従っているのでしょうかね。 チョウの威嚇がこれほど有効だと、大面積の翅はただ飛翔能力を上げるため のものではなく、いざという時に体を大きく見せ、同種・異種を問わず相手を びびらせるための威嚇用器官としての役割も、かなり大きいんじゃないかと 思えます。 幼虫はエノキ等を食べて育ちます。ということは近くにニレ科の植物、おそらく エノキがあるはずです。 ということは、他のエノキを食草とする昆虫たちもいるはずです。たとえば、 オオムラサキとか。 と思って探しても、なかなかエノキの大径木には出会えない。小さなエノキを
見つけても、食み跡ひとつない。オオムラサキもいない。 得てして、うまくいかないもんです。 |


