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シロスジアオヨトウがいましたよ。 こいつもやはり、いつもの樹液スポットに来ていた個体です。 カブト・クワガタにはなかなか出会えませんが、蛾との相性はバッチリなようです。 かなり複雑な模様をもっていて、かっこいいですね。 あちこちが緑色に仄かに発光する、デルタ翼を持った超古代文明の巨大飛行兵器と いった印象を受けます。 まあ、発光もしないし兵器でもないんですがね。当り前ですけどね。 褐色と緑色が複雑に入り組んだ模様は、まさに苔の生えた樹皮といったところ。 樹液を吸いつつ翅を震わせていたので簡単に見つけられましたが、樹皮上にじっと していたとしたら、見過ごしてしまいそうです。うん、なかなかいい擬態だ。 本種の種名は、白い筋がある緑色のヨトウガの仲間の意。 ヨトウガと聞くと、農作物の大害虫であるヨトウガ(俗称:ヨトウムシ)が真っ先に 思い浮かびます。広範な作物につく、厄介者です。 夜な夜な畑に出てきては農作物を食い荒らす様を、夜盗になぞらえているわけです。 与党蛾などという、やけに政治色の強い、権力を持った昆虫ではありません。 ヨトウガ亜科には、多くの種が属しており、そして多くの種が○○ヨトウと名付け られています。しかし、ヨトウと名の付く蛾の全てが害虫というわけではありません。 と言うか、害虫になりうるものは少数派です。 このシロスジアオヨトウも、害虫ではありません。 食草はスイバとかギシギシといった、タデ科の植物。タデ科の作物と言えば、ソバが ありますが、これを食害することはあまり無いようです。 夜盗じゃないのに夜盗と名づけられるのも可哀想な気がしますが、まあ仕方ないか。
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昆虫
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ヒメクロオトシブミがいましたよ。 の記事でもご紹介したとおり、 「落とし文」のこと。 オトシブミの仲間が木の葉で作る揺籃を、落とし文に見立てているわけです。 本種は目にする機会の多いオトシブミだと思います。 小さな昆虫ですが、黒光りする体にオレンジ色の脚がついていて、意外に目立つ ものです。 野外では、食草であるクヌギやコナラといったナラ科木本の葉の上にいるところを よく見ますし、バラ科の植物も食べられるので、庭に植えたバラの葉の上で見つかる こともありますね。もっといろんな広葉樹の葉の上で見つかるかもしれません。 本種もオトシブミらしく、木の葉を器用にくるくると巻いて、揺籃を作ります。 揺籃の中には卵が産みつけられていて、孵化した幼虫は揺籃を食べつつ育ちます。 卵と言うのは栄養価が高く、防御力もなく、反撃もされないので、結構いろんな 生きものに狙われる存在です。また、小さなイモムシも、鳥や肉食昆虫にとっては いい餌になってしまいます。 ということは、卵や幼虫を守る方策をとれば、生き残れる確率は高まりそうです。 オトシブミはオトシブミなりのやり方で、これを実践しています。 この揺籃は、幼虫の餌になると同時に、卵や幼虫を他の肉食昆虫などから物理的に 守り、あるいは卵や幼虫の存在を隠すようなシールドにもなり得るわけです。 次の写真は、ヒメクロオトシブミの交尾の様子です。 よく見ると、足場になっているクヌギの葉っぱが、主脈まで切られていますね。 これは、どうやら揺籃を作りかけている状態のようです。 そういえば、揺籃が完成したと思しきタイミングや、上に挙げた写真のように 揺籃を作っている最中に交尾をしているオトシブミの仲間を見かけることが結構 あります。 揺籃を作るということは、産卵可能な状態にあるということだと思います。 とすると、揺籃を作っているのは、交尾済みのメスということになります。 であれば、はたしてオスの個体は、その交尾済みと思しきメスと交尾する意味が あるのかな? 実は昆虫は、何度も交尾をすることがあります。特にレアなケースでもないです。 昆虫の世界では、必ずしも交尾=即受精と言うわけではないんです。 交尾をした後、精子はしばらくメスの体内に保管され、産卵の直前など、受精が 必要な時に小出しにして使われたりします。 つまり、交尾済みのメスであっても、体内には未受精の卵が残っている確率が そこそこ高いわけです。 だからオスの個体から見れば、産卵を完了しきったメス個体はともかくとして、 産卵行動をこれから行おうとしている個体であれば、自分の子孫を産んでくれる 可能性がまだまだある、ゆえに交尾を試みる、というわけです。 オトシブミが揺籃作成中に交尾をしているのも、そういうことなんだろうな、と。 もしかしたら、揺籃を作り始めて、産卵準備が整った状況での交尾を好むという ことなのかもしれません。 オスから見れば、すぐに自分の精子を使った受精卵を産んでくれそうですし。 メスから見ても、産卵準備の整ったところで新鮮な精子を貰った方が良いような。 まあ、この辺はいつものごとく、全くの妄想なのですが。
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これは7月14日現在のトップ絵にも用いている写真です。 ハラビロカマキリ幼虫。 実は、はじめはこんな体勢ではありませんでした。 ぼくがあまりにしつこく写真を撮るので、気が散ってしまったのでしょう。 他の場所に移ろうとしている最中の様子を写したのが、上の写真です。 はじめはこんな体勢で、花の上に待機していました。 獲物を待っている状態です。 ずいぶん低い姿勢で待機しています。 これは多分、ハラビロカマキリ自身としては、花弁の一片になったつもりで いるのではないかと思うんです。 なるべく目立たず、かつ獲物の動向をウォッチでき、いざ捕獲行動を行う 際に、障害のない場所。これを押さえるのが、ハンティングの鉄則のはず。 1枚目の写真のように、花冠の真上にいては、いくら何でもバレバレです。 本種の餌となる小型の訪花昆虫たちも、それほどバカではありません。 違和感を覚えれば、他の花に移るはずです。 かといって花弁の陰に隠れていては、獲物の動向がつかみ難く、なおかつ 獲物に飛び掛ろうとしたとき、花弁が邪魔になります。 そうなると、選択肢は限られます。 限られますが、ある意味、王道なやり方です。 そう、自身が花の一部であると相手に錯覚させれば、全て一挙に解決です。 で、この個体は上記の理論を実践しているのではないかと。 もちろん理屈で考えているわけではないのでしょうが、本能の中に理論的な
思考が織り込まれているんだろうなぁと、待ち伏せ系の肉食昆虫を見ながら よく考えちゃったりします。 |
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カタツムリの殻の下に何かいるなと思って覗き込んでみると・・・ 殻頂部を食い破ってモソモソやっているようです。 カタツムリを食っていますね。 1枚目の写真に、カタツムリの殻を内側からブラシでこすったような模様がありますが、 どうもコイツがつけたもの(歯型?)のようです。 殻の内部を覗き込んでみると、9割がた食べ終わっているようでしたので、ちょっと 失礼して、持ち上げてみました。 この虫の背面。 そして腹面。カタツムリをたらふく食って、おなかがパンパンです。 持ち上げても逃げることなく、貪欲にむさぼりついています。大した度胸だ。 仕方がないので、地面に戻して、食い終わるのを待ちます。 蚊に十何回と血を吸われ、だんだん待つのが嫌になってきたころあいで・・・ 出てきました。結構すばやく歩きます。ああ、コイツは・・・ 今回発見したのは、必ずしも殻口から進入するわけではなく、殻頂部を食い破って、 逆の方向から食うこともある、ということ。 ↓殻の本体と、切り取られた殻頂部↓ 殻口の方から殻を齧って破る例は見たことがありましたが、こういう裏ワザがある とは、思っても見ませんでした。ちょっと感動。 甲虫の幼虫というと、カブトムシやカミキリムシのような、白っぽくて柔らかく、 そして移動が緩慢なイモムシっぽい形を想像しがちです。 が、オサムシやシデムシの仲間などの幼虫は、三葉虫のオバケとでもいった感じの 形をしています。そして、移動能力も高く、かなり機敏に地表を徘徊します。 マイマイカブリの幼虫もそういった類のもの。セカセカと歩き回ります。 幼虫なのに、アグレッシブな奴です。捕まえると攻撃(エビ反りになって、尾端の トゲと頭部の大アゴで、敵をチクチクしようとします)もしてきます。 しかし、この幼虫と成虫、確かに形は違うのですが、食性も行動もほとんど同じ なんですよね。 マイマイカブリの成虫は飛べませんから、幼虫の時代から生活環境が一変すること なく、地表を歩き回るだけですし、同じく陸生貝類を襲って食べる。 完全変態――蛹を経て、体のつくりを一から造り変えるという大チャレンジをする のに、新しく得るものは甲羅のような鞘翅くらいかな。 チョウは葉を食べるイモムシから、蜜を吸い空を舞う蝶々に、カブトムシは腐植を 食べる地虫から、強固な装甲と飛行能力を持ち、樹液を啜る甲虫に。 トビケラは、ほの暗い水底でデトリタスを食べる生活から、空を舞う羽虫に大変身。 生活スタイルや食性が、見事に変化しています。 こういった種属を見慣れてしまうと、マイマイカブリよ、もっとがんばって自分を 変えてみようよ、と思ったりしてしまいます。 しかし、一貫して生活スタイルを変えないのは、それはそれで保険が利いていると いうか、確実性の高い生き様のようにも思えます。 幼虫は這いながら、カタツムリを食らって成長する。成虫になる段階に至ったとして、 なお周辺にカタツムリのいる環境であるなら、成虫も同じくカタツムリを食えばよい。 這って歩いて生き延びられたのだから、この先も這って歩けばよい。 それで何の不足があろうか。 理屈は通ります。 というか、むしろかっこいい。渋い。さすがマイマイカブリ。 それにしても、羽化しても生活様式のかわらない本種は、果たして甲虫然とした 成虫になる必要があるのだろうか。 そういう疑問を抱いたその矢先、例の説が脳裏に浮かんでまいります。 「昆虫にとって、幼虫こそが日常の姿。成虫とは、繁殖のための勝負服である」 やはり完全変態をする甲虫である以上、勝負服を身にまとう運命にあるわけか。 しかしマイマイカブリよ、お前の勝負服は、日常の延長上にあるのだな。 ますますかっこいいではないか。 そういうわけの分からない妄想を抱いたまま、蚊に刺された跡を掻き毟りつつ、
家路に向かう休日のぼくなのでした。 |
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オスグロトモエがおりました。 樹液に来る虫と言えば、カブト、クワガタ、カナブンといった甲虫の類が思い 浮かびますが、実際に個体数や種数が多いのは、夜行性のガなのではないかと 思うことがよくあります。 というのも、カブトムシやクワガタムシを見つけに行こうと野外に出掛けても、 見つかったのはガのみということが多いからです。 無論、甲虫は誰かさんがお持ち帰りしてしまい、人間に人気の薄いガだけが 残っているという可能性もあるわけですが…。 で、今回もガがたくさんおり、そのうちの一頭が本種だったわけです。 本種はネムノキを食べて育つガの仲間。夜は樹液の染み出しているところでよく 見かけます。灯火に飛来することも多いですね。 その名の通り、翅に巴の御紋をあしらっています。 どうにか巴模様に見える…というような、しみったれたレベルではなく、まさに 巴模様、それ以外の何者であろうかというくらいの立派な巴です。 が、おそらく多くの生きものからは、目玉模様に見えるのでしょう。 鱗翅目の成虫の中には、目玉模様を有する種が多数います。 鳥は目玉模様を怖がるか、あるいは嫌う性質があるようで、これを応用した防鳥 用具も多数販売されています。完全ではないにせよ、一定の効果はあるようです。 鱗翅目の目玉模様も、同様の効果があるのでしょうね。 鳥が蛾を捕えようとしたところ、ギロギロ睨むような目玉模様と眼が合う。 鳥、たじろぐ。蛾、逃げおおせる。という感じで。 しかし、目玉模様なんて意に介さない鳥もいるような気が…。 どの程度有効に機能しているのか、調べてみたい気もします。 また、目玉模様というのは遠くからでも結構目立つもので、逆に天敵たちに 見つかりやすくなるんじゃないかという疑問も生じます。 目玉模様への抵抗感を克服した鳥類が増えれば、新たな淘汰が始まるのかな。 話が相変わらずあっちこっちに飛びますね。すみません。
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