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こいつは地中海あたりが原産の、いわゆる外来植物。園芸利用もされてますね。 1961年に東京都世田谷区で初発見、それから50年ほどたちますが、西日本から関東あたりでは、結構普通に見られるようになっています。 岡山でもあっちこっちで目にします。オオキンケイギクのように大群落をつくるようなところまでは行ってないですが、花壇のわきにしれ〜っと生えていたり、電柱や標識柱の根本のわずかな隙間にたまった土に根を張っていたりですとか、今のところはそんな感じで、市街中心部近くでも郊外でも侵入済みなようです。 一年草らしいですが、同じ場所で経年的に見られます。ここ2〜3年の短い期間でも、徐々に増えているような。手堅い定着・繁殖能力で、かなりバイタリティがありそうなので、厄介かも。 花はやや白みがかったオレンジ色、ポピーのような形です。 種名の「ナガミ」は、読んで字のごとく、果実が長いところから。 |
維管束植物
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どこかに虫がいないか、蛙がいないかとキョロキョロしながら山道を歩いていたら、 唐突にずっこけました。足元がお留守になっているんだから、仕方がありません。 よくあることです。いや違うな。いつものことです。 ずっこけたぼくの目の前には、シシガシラの小さな株がありました。 これも何かのご縁、よく見ればまあカッコいいじゃないかと思い、写真を撮って 帰ってきました。転んでもただでは起きないのですよ。 シシガシラは全国的に分布するシダの仲間。山に入ればそこらじゅうで目にします。 大抵の場合、林床にへばりつくようにして、放射状に葉を広げています。その様子が 獅子の鬣に見立てられ、獅子頭(シシガシラ)と呼ばれることになったのだそうです。 株の中心部から垂直に伸びている葉は、胞子葉と呼ばれる器官です。 シダの仲間は、種子ではなく胞子で繁殖を行います。一部(と言ってもたくさんある のですが)のシダは、光合成をして、エネルギーや栄養を生産する栄養葉(普通の葉) とは別に、胞子を作って散布する為の専用の葉を持っています。これが胞子葉です。 新しく出た芽が赤く色づくという現象は、いろんな植物で見られます。 シダの仲間でも、そういう種がいます。シシガシラが今期の繁殖のために新しく作り 出した、展葉間もない胞子葉は、ご覧のとおり赤く色づいています。 それにしてもこの胞子葉、見事にまっすぐ出ていますね。ばっちり垂直が出ている
ような感じがします。加えてこの色と形。うむ、かっこいいじゃないか。 |
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キンランが咲いていました。 以前紹介したカヤランとは違い、地表に生える、オーソドックスな 形の植物です。 鮮やかな黄色が黄金のようだということで、金色の蘭との意味で つけられた種名だと言われます。 確かに、林床に咲く本種の花は、黄金のように輝いて見えます― というのは言いすぎですが、映える色であることは間違いありません。 普通、よく目にするのは上の写真のように、花が5つか6つついている 個体なのですが、この個体の近くには、下の写真のように↓ もっとたくさんの花がついているものもありました。 かなり立派な株です。残念ながら、花は開いていませんでしたが。 全体的な形は一般的な植物、とりわけユリ科植物あたりに似て いますが、花の形を見ると、ちゃんとラン科植物であることが 分かります。 ラン科の植物の多くは、左右対称の形をしています。 対象なのは左右だけです。上下方向、任意の角度での回転(花弁5枚の ハコベなどは、72度回転させるとごとに元の花の形と一致します)に ついては非対称。 キンランもそうです。 そして妙に複雑な構造。ポリネータ(花粉を運んでくれる虫たち) にとっては利用しやすく、またラン自身にとっては信頼のおける ポリネータに、きちんと花粉を持っていってもらうのに有効です。 外側に開いた花被弁(花びら・がくの総称)は、おそらく花の存在を アピールするうえで好都合で、内側の花被弁は、ポリネータが蜜を 吸おうとする際の足場などとして機能しています。 そして、ポリネータが餌を得ようと花の奥に進入する際に、うまく 花粉を付ける/花粉を受け取ることが出来るような位置にある蕊柱。 よくもまあこんな形に進化したものです。 また本種は、菌類との共生関係が、生育していく上でかなり重要 だとされています。もちろん、キンラン自体も光合成をしますから、 すべてのエネルギーや栄養を菌類に頼っているというわけではあり ませんが、キンラン単体では十分な生育・繁殖は無理だそうです。 しかも、ただ菌類とセットになっていればいいというわけではない ようです。 キンランと共生する菌は、生きた樹木から栄養をもらっている、 いわゆる外菌根菌というもの。 ということは、樹木→菌類→キンランという流れで、栄養が流れて いることになります。 だから、キンランと菌類だけあっても、あまりうまくいかない。 三者がそろっている環境でなければいかんわけです。 花が奇麗で、しかもランの仲間なので、よく盗掘の憂き目に会う のですが、そんじょそこらのマニアが鉢に植えてみても、そうそう うまくはいきません。 三者の繋がりが切れてしまっているからです。 持って帰ってもどうせ根付かないんだから、生えている場所が
生育適地なんだから、そっとしておいてあげてよ、と思います。 |
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カヤランが咲いていましたよ。 花だけにピントが合っている上の画像を見ると、何とも普通な感じの植物ですが、 全体像↓を見ると「あら?」と思ってしまいます。 本種は着生ラン(木の幹などに付着して育つラン)と呼ばれるランの仲間です。 上の画像のように、木の幹に垂れ下がるようにして生えていて、花が下向きに、 根が上方に伸びるという、普通の植物と比べると、なんともあべこべな形態に なっています。 根が露出して見えますが、別に土やコケをひっぺがしたわけではありません。 はじめからこういう状態で生えているんです。 これは気根といって、空気中の水分を吸収するなどの役割を持っています。 雨が降れば樹幹は潤いますが、土壌と違い、雨がやむと早く乾いてしまいます。 そんな状況でも、水を確保しないと生きていけません。そこで役に立つのが気根 というわけです。そしてこの気根の先端で木の幹に張り付いています。 ランの仲間というのは、ちょっと変わっています。 一般的な他の科に比べて、木の幹などに着生するものや、光合成をやめ腐生植物に なったもの、花の形が特定のポリネータ(花粉を運んでくれる虫)の形態や行動に 合うようにやたらと特化しているもの、菌類との共生が生育上かなり重要だったり するものといった、特異な性質を持つ種の割合が多いように思えます。 ランの仲間はかなり最近になって分化した、被子植物の中ではかなり新しい系統の 植物だと言われます。 ということは、植物の進化の流れの中で、ランの仲間の祖先が生まれてきた頃には、 もっと昔に種分化した多数の他の植物が繁栄していたわけです。 これはなかなか厳しい状況です。 大手企業のひしめく業界に、新手の零細企業が参入するみたいなものですからね。 そこで生き残るには、正攻法では不利な面もあります。 そういう時は、今まで開拓されていなかったような分野にターゲットを絞ったり、 既存の体制の隙間を狙ったりと、いわゆるニッチ商法が生き残りに有効だったり します。 それが例え少規模な市場であっても、その市場に特化して、あるいは独自の商品 展開をすれば、成功する可能性は高くなりますからね。 新参者のランの仲間は、すでに大手企業に独占されたも同然の、地表という場所、 一般的な生育スタイルではあまりうまくやっていけない。 一方、他の維管束植物があまり利用していなかった、樹上という空間を生育場所に 選んだり、菌類と共生し不利な環境でも何とか生育できるようになったり、特定の ポリネータに特化した花をこさえたりと、他の植物ではなかなか成し得なかった 特性を獲得したものが多く生き残ったのではないか、そういうふうに考えられて いたりします。 また、ランの仲間は、進化の速度が他の植物に比べ速いそうです。あと、雑種も 作りやすいとか。こういった特性が、特異な形態を獲得する上でもプラスに働いて いるんでしょうかね。 植物界のニッチ系ベンチャー:ラン科植物が今後どのように進化していくのか、
このカヤランをもとにどんな種が生まれていくことになるのか、とても興味深く 思います。 |
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フモトスミレが咲いていましたよ。 山のふもとに咲くからフモトスミレなんでしょうね。でも生えているのは 山の中腹より上でした。うーむ。 それはともかく。 個人的にはお気に入りのスミレです。 本種はそれほど群生せず、小さな株が単体で林床に散生…という場合が多い ように思いますし、植物体自体も小さいです。でも存在感がある。 白い唇弁(中央下の花びら)にのびる、濃い紫の紫条(筋状の模様)。 赤い花柄。濃い緑の葉。なかなかいい感じの配色じゃないですか。 また、本種のうち、葉の葉脈に沿って白いラインが浮かぶものを品種に位置 づけ、フイリフモトスミレと呼ぶこともあります。 フイリ(斑入り)と聞くと、園芸方面では珍重される傾向にありますが、本種に おいては特に珍しいものでもありません。というか、場所によってはほとんど フイリ〜で、ノーマルなフモトスミレを探すほうが難しいということも。 この画像の個体の葉を見ると、白い模様がありますね。 正確を期すというか、細かく分類するなら、この個体はフイリ〜とすべきで しょうね。 スミレの仲間は結構、同定が難しいものです。
類似種は多いし、地域によって変異があったりするし、雑種もたまにあるし、 亜種・品種レベルの分類も多い。苦手です。 |


