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キランソウも花を咲かせました。 地面にはいつくばって咲いている背の低いシソ科の植物。 路傍に群生していることもあり、花期には紫色のマットが 敷いてあるように見えることもあります。 シソ科にしては変わった植物でもあります。 シソ科の植物というのは、茎が四角いんです、普通は。 ホトケノザやカキドオシ、オドリコソウ、ヒキオコシなど 多くのシソ科植物に共通の特徴です。 でも、本種の茎は丸いんです。 加えて、高山でもないし、強風の吹きつける場所に生えて いるわけでもないのに、べったりと地面を覆うような、 低姿勢のスタイル。花序が立ち上がるそぶりもない。 妙にシソ科っぽくないなぁ、ゴマノハグサ科っぽいなぁ、 と思ってしまいます。 でも、花のつくりはしっかりシソ科。 なんだか(個人的には)不思議な印象を受けてしまう植物 です。 「キラン」とは、紫色の古語「キ」と藍色の音読み「ラン」 をくっつけた、花の色を表すものだと、牧野富太郎植物記に 記載されています。 確かにこの花の色を表せば、そんな感じですね。 また、本種を金襴草とも書きます。 これは、鮮やかな花をつけ、匍匐茎で地表を放射状に広がる様子を 金襴の模様に見立てたとか、金襴の切れ端のように綺麗とか、そう 言うところから名づけられたのだといわれます。 なるほど、そういわれるとそう思えます。 どっちが本当の由来なんでしょうね。 金襴(キンラン)草が訛ってキランソウになったのかな。 本種は生薬としても用いられるそうで、この場合の呼称は「筋骨草」。 なんだか筋骨隆々なマッチョなイメージの浮かぶ名前ですが、一般に 知られる薬効は、内服して咳、痰、解熱に健胃整腸。 外用で虫さされ、化膿、かぶれ軽減など、何とも普通。 薬効とこの呼称は関係ないのでしょうかね。 でも見た目から筋骨〜というインスピレーションは浮かんで来ない しなぁ。 と思いながら調べていくと、最近になって、関節症や骨粗鬆症への 有効性が見いだされているとか。 そうなると筋骨草という呼称は的を射ているのか。 後世に伝達されてないけど、筋骨草と名付けた当時は、関節・骨 への薬効を知っていたのか?なんて無茶な考えをしてみたり。 さてさて、また話が飛んでしまいました。 気管、消化管系への薬効は結構優れているのか、地方によっては 「医者いらず」「医者殺し」なんていう俗称もあるとか。 リンゴが赤くなると、医者が青くなるなんて言いますが、これと 同様に、本種を煎じて飲めば医者は不要、ということなのでしょう。 また、ジゴクノカマノフタという、何とも物騒な別名がついてます。 地面に這いつくばっている姿がそう見えるのか、地獄の釜に片足を 突っ込んでいたような病人が本種の薬効で生還して、地獄への道に 蓋がされるからなのか、墓の石の継ぎ目などによく生えていたりする からなのか、どれが正解だか分かりませんが、きっと名付けた人は ただ者ではないでしょう。 すごいインスピレーションです。 それから、キランソウをシロアリ防除剤に用いるという特許 もあるようです。 キランソウはエクジステロイドと呼ばれる物質を持っており、 これは昆虫たちの生理(変態や脱皮)に作用するものであるとか。 大量に摂食すると、昆虫の成長を阻害することになるのかな。 そうであればこの物質は、キランソウの対昆虫用防御システム なんでしょうかね。 気管・消化管・骨格系への薬効、除虫効果を持ち、結構きれい
な花も咲かせるキランソウ、こいつも万能選手だなぁ。 |
維管束植物
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カラスノエンドウが開花しています。 どこにでも生えているマメ科の草本です。 エンドウマメに似ているけど、人が食うような代物ではない。 ということで、カラスのエンドウという名になったわけです。 じゃあカラスなら食うのか?と言われると困ってしまいますが。 子どもたちは(自分の小さな頃を含め)この植物の朔果を巧みに 加工して、「ぴぃ〜」と鳴る笛に仕立てて遊んでいました。 そのため本種はピ〜ピ〜マメという俗称を持たされ、標準和名 よりも浸透している(子どもの間では)という状況でした。 皆さんの中にも、同じような思い出をお持ちの方がいらっしゃる のではないでしょうか? さて、本種の茎や葉の上では、やたらとアリの仲間を目にする ことがあります。 偶然居合わせたというわけではなく、明らかに何かしらの理由で 集まってきているといった感じです。 これは、カラスノエンドウが蜜腺を持っていて、蜜を分泌して アリを誘引しているからなんです。 植物の器官の一つに、托葉というのがあります。 葉柄や花柄の根元にある、葉のできそこないのような、小さな 付属体です。葉や花が芽生える際の保護材として機能している とされています(それ以外の機能を有する場合もありますが)。 カラスノエンドウはここに蜜腺をもっています。上の写真のように アリが托葉のあたりに留まっているのは、蜜を集めるためなんです。 なぜカラスノエンドウはわざわざ蜜を作り、アリに提供して いるのでしょうか。 蜜というのは、いわばカロリー・栄養の塊。アリにやらずに 自分の成長にその栄養を使った方がいいんじゃないか? などと思ったりもします。 が、蜜をアリに提供することは何ら無駄な行為ではなく、むしろ 個体の維持にプラスに働いているようです。 植物体の上にアリを徘徊させれば、カラスノエンドウにとっての 害虫―葉を食べたり汁を吸ったりする虫が寄り付きにくくなる、と。 つまり、蜜でガードマンを雇っているわけです。 アリにやる蜜など、葉を食い散らかされたりする損害に比べれば たかが知れているわけですから、これはいい保険になります。 ピ〜ピ〜マメなどという、間の抜けた名で呼ばれる植物ですが、 なかなかの戦略家ですねぇ。 と、ここまで聞くと、とても完成度の高いシステムに思えますが、 ある種が防御手段を獲得しても、いずれ他種が対抗手段を獲得し、 イタチごっこを続けていく…というのが生き物の進化の定め。 皆さんは「アリマキ」と呼ばれるアブラムシたちをご存知ですか。 多くのアブラムシの仲間は、草の汁を吸いつつ、余剰な糖分を排泄 します。これにつられてアリがやってきます。 アブラムシを直接食べるような肉食昆虫が近づけば、アリが排除 してくれたりします。 こっちでも、甘い蜜でアリをガードマンとして雇っているわけです。 そうなると… カラスノエンドウにアブラムシ(ソラマメヒゲナガアブラムシなど) がついた場合、アリはどう振舞うのでしょうね。 カラスノエンドウに義理を果たすため、アブラムシを攻撃するか。 アブラムシの誘惑に乗り、アブラムシを保護するか。 とても興味があります。 アブラムシに寄生されているカラスノエンドウは結構見られます。 下の画像のように。 とりあえずこの個体では、アブラムシの誘惑の方が強かったのかな。 しかし近所のカラスノエンドウを見ていくと、アブラムシ寄生率は さほど高くなさそうです。 そうなると、全体的にはカラスノエンドウの作戦勝ちなのかな。 これを調べていくのは大変ですね。 アリ不在/存在の双方場合のアブラムシ寄生率を調べて、アリによる 防御効果の程度を調べつつ、アブラムシ寄生個体上でのアリの行動 も観察しないといけない。もっと突き詰めれば、アブラムシの寄生 密度の高低がアリの行動に影響を及ぼすかどうかとか、いろいろ やっていかないと。ああ難儀だなぁ。諦めよう。 誰か教えてくれないかなぁ。
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フデリンドウが咲いていましたよ。 花屋に売っているリンドウは大振りですが、本種はとても小さな リンドウの仲間です。背丈はせいぜい10cm。 落ち葉の隙間からやっと頭を出し、何とか咲いたというような 個体もよく目にします。 しかし小さいといっても、やはりリンドウの仲間。 花の形(筒状の合弁花)、花のつき方や葉のつき方(対生)などを 見ていくと、共通点が多々あることに気がつきます。 本種は比較的明るい山野の林床でよく目にします。 大群落を作ることはなく、2年草のため大きな株になることも ほとんどありません。 しかし、褐色の林床にまたたく綺羅星(花の形もなんとなく星 っぽいですね)のごとく、澄んだ青い花が輝いておるわけです。 山に登りつつ、ああきついああいやだと思いながら、足元に 目をやると本種が咲いている。それを見て癒されて、なんとなく 足取りが軽くなる。そんなことがあったりなかったり。 同じような季節に、ハルリンドウというよく似たリンドウが咲き ますが、根出葉の大小で見分けがつきます。 フデリンドウは根出葉が小さく目立たない。対してハルリンドウは 根出葉が大きい。 大きな根出葉を持たず、すっと伸びた茎先に花を咲かせる、筆の ようなフデリンドウ。春が来て、のびのびと根出葉を広げたのが ハルリンドウ。そうやって覚えました。 よく観察すれば、ハルリンドウのほうが葉身が若干細めだったり、 より湿った場所に咲いたりしていることに気がついたりします。 そうそう、リンドウの仲間はたまに白花になったりします。 突然変異で色素が抜けちゃうんでしょう。 上の写真の左端の個体は白花株。見つけるとうれしくなりますね。
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セイヨウタンポポが咲いています。 正確には、セイヨウタンポポ類としたほうがよいので しょうかね。 種名の示すとおり、西洋から来たタンポポです。 いわゆる帰化植物です。 帰化植物とは言え、春先に鮮やかな黄色の花を咲かせ、 目を楽しませてくれますし、またアスファルト舗装の 裂け目やブロック擁壁の継ぎ目などから芽生えている ところを見ると、生命の力強さに感動すら覚えます。 かなり頻繁に草刈をされる植え込みの中でも、草丈 こそ短くなりますが、しっかり花を咲かせます。 春先の訪花昆虫にとってはいい食事場になりますし、 ハナアブなんかがこの花の上でのんびり日向ぼっこを している様は、まさに春らしい、微笑ましい光景です。 でも、悲しいかな帰化植物。 セイヨウタンポポは単為生殖を行います。 以前紹介したシャガなども単為生殖でしたね。 要は、配偶者がいなくても自力で繁殖できるわけです。 他の個体から花粉をもらわなくても、種子ができて どんどん増えていけるというわけです。 花粉を運んでくる虫がいなくても、周りに同じ種類が 生えていなくても、どんどん増える。繁殖力が強いん です。しかも、荒れ地に生えてもぐんぐん育つ生命力 も持ち合わせているのですから、かなり強力です。 綿毛のついた種子は風に乗って広がって行き、道端や 荒れ地など、色んなところで定着。都市部を中心に 広がって行き、現在はどこにでも生えているメジャーな 植物となりました。 セイヨウタンポポ以外にも、日本にはもともと何種類 ものタンポポが見られまして、カントウタンポポや カンサイタンポポ、エゾタンポポやシロバナタンポポ などが日本各地に(分布は種ごとに違いますが)生えて いるはずなのですが、特に街中や人のての入った場所 では、目にする機会が多いのはセイヨウのほう。 在来のタンポポはどちらかというと、田舎というか、 山あいというか、山というか、あまり開発されていない 場所で見ることが多いように思います。 セイヨウが在来を駆逐したのか、開発された場所に 先駆的に入って行ったのがセイヨウなのか、どちらが 正解なのかよく分かりませんが、 ・周りに同種がいなくても、花粉を運ぶ虫がいなくても増え られて、春に限らず花を咲かせ、結実るセイヨウタンポポ と、 ・周りに同種の別個体がいて、花粉を運ぶ虫たちがいない とうまく繁殖することができない(自家不和合性と言って、 自分の花粉を受粉してもうまく種子ができず、遺伝情報が 少し違う、同種の別の株の花粉が繁殖に必要という特性を 持っていたりします。もともとは遺伝子の多様性を確保 するためのいい方策なんですが、株がどんどん孤立すると、 かえって自分の首を絞めることになってしまいます)し、 開花の期間が限られている在来タンポポ どちらが強いかと問われれば・・・ セイヨウの方となるでしょう。 同じような生活スタイルをしていて、方や強者、方や 弱者が同じような場所で肩を並べて生きているとすれば、 そのうち弱者が淘汰されてしまうかも・・・と、そういう 心配事も出てくるわけです。 また、セイヨウタンポポは単純に単為生殖をするだけ ではありません。単為生殖とはいえ、一応花粉を生産 するわけですが、その花粉が他種のタンポポに届くと、 雑種を作る場合があることが知られています。 普通に考えれば、単為生殖する植物の作る花粉なんて 繁殖に役立たなそうな気がしますが、そうでもないん ですね。 これがまた困ったことでありまして、セイヨウ×在来の 雑種が増えていくことになります。 在来種の保全を重要視する立場から見れば、遺伝子汚染 が進んでしまうということになり、懸念材料なんです。 そんなこんなで、嫌われ者の植物でもあったりします。 駆除活動が行われることもあります。 もともとは鑑賞用、飼料用、ときに人間の食用として、 栽培目的で国内に入ってきた種だと言われています。 (もちろん、荷物などにまぎれて、意図しないところで 入ってきたものもいたでしょうね) 帰化生物問題では、よく(?)、帰化種自体に罪はなく、 導入した人間側に責があるというご意見がでることが ありますが、これはあながち間違いじゃないな、と 思います。セイヨウタンポポだってそうかも。 とはいえ、帰化種に罪なしとして、自由奔放に繁殖 させてしまうと、罪のないはずの在来種が駆逐されて しまいます。 在来種を守ろうと帰化種を駆除すると、これまた罪の ないはずの帰化生物を虐げることになります。 責のある(らしい)人間を裁こうにも、だれが導入した のか分かりませんし、当時の生態学の認識ではこんな 状況は予見できなかったでしょうし、仮に裁いたとして 事態が好転するわけでもないです。 結局、事態の好転を目指して、帰化種の駆除と、必要に 応じた在来種の保護増殖を行うことになります。 と、なんだかすっきりしませんが。
難しいですよね。 |
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タチツボスミレが咲いていました。 |


