前頭葉について
脳の司令塔である「前頭葉」は、思考、学習、推論、注意、意欲、抑制、情操、創造などに深い関係があります。脳科学の視点からも「三つ子の魂百まで」は、言い当てているようです。しかし、前頭葉は置かれた環境の刺激(体験や学習など)を受けながら、時間をかけてゆっくり成長していくようです。
乳幼児や子どもたちは、遊びを経験しながら脳を発達させていることが知られています。
子どもの脳の専門家、金澤治・埼玉医科大学助教授は「前頭葉について」、次のように説明しています。
先に、人の「品格」と「理性」は前頭葉の働きであるということをお話ししました。次にお話するように、まさに、人類の進化は、前頭葉が前方へ膨張・突出していくことだったのです。これは、人類の祖先たちの頭蓋骨を横向きにして、その進化の順番に並べて見るとよくわかります。
アウストラロピテクスのほとんどサルと変わらないような平べったいおでこが徐々に前方に突出してきて、その代わりに突出していた上下のあごが進化とともに徐々に後退し、現代人(ホモサピエンス)では、額が大きく突出しあごが引き締まって、いかにも聡明そうな頭蓋骨になっていくのです。
前頭葉は、大脳の前のほうの部分で、後方は中心溝と呼ばれる大きく深いシワで頭頂葉と分けられ、下方はシルヴィウス溝と呼ばれる大きく深いシワで側頭葉と分けられます。優位半球(通常は左側)の前頭葉前半部は、思考、自発性(やる気)、感情、性格、理性などの中心です。病気や怪我で優位半球の前頭葉が障害されると、これらの機能が低下します。具体的には、几帳面な人がだらしなくなったり、幼稚になったり、極端な例だと目は開けているけれど1日中ぼーっとして何もしない状態になります。
子どもから大人への成長の過程で、前頭葉が発達してきます。成長につれて幼稚さがなくなり、思慮深くなってゆくのは、前頭葉が発達してくるからです。一説によれば前頭葉の発達は成人になってからも続くといわれています。身体の成長は10歳台の前半でほぼ終わりますが、脳波検査によると、子どもの脳波から大人の脳波になるのは10歳台の後半になってからです。
いっぽう、劣位半球の前頭葉前半部は何をしているところかまだよくわかっていません、。病気や怪我、あるいはてんかんの外科治療による切除術などで、劣位半球の前頭葉前半部が失われても、症状は何も出ないことがほとんどです。
1つの可能性を考えるとすれば、もし前頭葉の発達すべき時期に、知識のみを重要視した過度なIT教育を施した場合、前頭葉機能の未熟な状態で発達した脳が、歪んだ人格を形成してIT機器を駆使したとんでもない行動に出るという危険性も十分にあるのではないでしょうか。そういう意味で、教育にIT機器を取り入れる年齢や質・量の問題を、早急に十分練り直さないと、本当にとんでもないことになってしまうかもしれません。
子どもの遊びは、前頭葉前野を刺激するといわれます。一般的には感覚器でとらえた刺激をもとに、脳が(適当に?)判断して、運動野を通じて筋肉運動をして対応するというメカニズムになっています。多くの行動は、このルートにより対応しています。これを「自動ルート」といいます。
もう1つ、これとは別に、「思考ルート」というものがあります。感覚器で受け止めた情報を、「前頭葉前野」を通じた後に、運動野を通じて筋肉運動をするルートです。子どもたちの「集団遊び」では、この思考ルートが使われることがわかりました。音読や計算なども、この思考ルートを刺激するといわれます。身体を使って遊ぶことが、子どもにとって重要なことが再確認されたわけです。
また、「遊び」の意義を子どもの集団から再認識することができます。地域で異なる年齢の子どもたちが徒党を組んで遊ぶことから、年長者にとっては、リーダーシップを発揮する場になり、年少者にとっては、成長の目安を年長者に見ることができるようになります。また、ルールを作って遊ぶなかで、ルールを守る社会性や、対人関係における約束事を作る社会性が培われるといわれます。
最近、「きょうだい(同朋)」関係を持てない子どもの増加により、このような異なる年齢の集団体験は極端に少なくなってきました。さらに、学習塾やお稽古事で、学校以外の子ども自身の活動の場や時間がほとんどなくなってきています。ここで、子ども会としての意図的な、異なる年齢集団を組織化することの重要さを提言しなくてはならないでしょう。しかし、もしそういう子ども会活動が実践されたとしても、ほとんど大人主導のものでつねに大人の監視付きという状況では、子どもたちの主体性はまったく無視されてしまうのかもしれません。
参考になる本
デジタル家電が子どもの脳を破壊する 金澤治 講談社
図解雑学:脳のしくみ 岩田誠 ナツメ社
記事の転載、OKです。
転載元: Dr ミカのメモ帳: 脳・栄養・心 (発達障害)
|
ある程度の放任は必要かも?ね。
2007/11/11(日) 午前 9:44
前頭葉の右脳を失っても何も変化が表れないとは初めて知りました。
子供の遊びはとても重要な成長過程なんですよね。
子供会はこの頃入らない人が多いと聞いた事があります。
確かに大人の監視付きですよね。昔子供会の行事で事故があって、役員に責任を問われた事がありましたよね。
今はすぐに訴えられるので大変ですよね。
2007/11/12(月) 午前 11:20
前頭葉は結構複雑です。まだ研究中で分かっていない部分も多くあるのではないかと思います。前頭前野には心が宿っているのではないかと考えられています。これについては面白い記述がありますのでまた記事にしますね。
子供会も昔のやり方のままだと敬遠されてしまうでしょうね。
何でも誰かの責任にしてしまえばいいってものでもないですよね。
もっと大らかさがほしいと感じることが多いですね。
子どももそうでしょうけど、大人も窮屈な世の中になってきていますよね。
2007/11/12(月) 午後 7:24
ちょっとアマゾンでカスタマーレヴューを見てみたら、妙に納得してしまいました。他にも誤解を招くようなことが書かれているみたいです。http://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E5%AE%B6%E9%9B%BB%E3%81%8C%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E8%84%B3%E3%82%92%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E3%81%99%E3%82%8B-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%87%91%E6%BE%A4-%E6%B2%BB/dp/4062722941
2007/11/12(月) 午後 11:17
勉強になりました。ありがとうございました。
2008/7/23(水) 午前 5:03 [ hisako ]
hisakoさま>そうおっしゃっていただけると嬉しいです!
ありがとうございます♪
2008/7/26(土) 午後 5:48